Research Abstract |
本研究で提案している光集積回路圧力センサは,津波観測用として海底に設置することを想定しており,高耐圧と高感度を同時に実現できる構成となっている。しかし,通常のセンサと異なり,圧力変化が生じたときにしか出力(光強度変化)が現れない。そのため,圧力のステップ変化に対する出力持続時間(光強度変化が持続する時間)は,重要なセンサ特性の1つと言える。そこで,まず,昨年度行った理論解析の不十分な点を改善し,出力持続時間が半密閉空間の体積Vと小孔の断面積Aの比V/Aに比例することを明らかにした。さらに,出力持続時間が瞬時圧力変化量の平方根に比例することも見出した。このような理論的知見を検証するため,半密閉空間の体積を一定とし,小孔の断面積と出力持続時間の関係について実験的考察を行った。試作したセンサのダイヤフラムサイズは14mm×14mm×0.22mmで,ダイヤフラム下部の半密閉空間の体積は14mm×14mm×1.8mmとした。また,小孔は円形とし,その直径を20μm,25μm,40μmの3種類とした。測定では,試作センサを30cm×28cm×30cmのアクリル板で作った密閉容器の中に設置し,密閉容器の圧力をステップ状に約0.7kPaだけ上昇させた。その結果,直径20μmの場合,持続時間が1.8秒(理論:0.34秒)となり,直径25μm,40μmのものについては,それぞれ1.8秒(0.22秒),1.9秒(0.08秒)であった。理論では直径が大きくなるにつれて,持続時間が短くなっているが,実験では3種類とも約1.8秒と違いが見られなかった。これは,センサを設置した密閉容器の漏れのため,約0.7kPaの圧力変化を2秒程度しか維持できなかったことが原因である。今後は,津波観測を想定して,流体を水あるいは海水にして,センサの動作確認及び実用化に向けた検証を行っていく必要がある。
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