2004 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴トンネル素子を用いた極限高速集積回路技術の研究
Project/Area Number |
15360187
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前澤 宏一 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (90301217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 孝 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70273290)
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Keywords | 共鳴トンネル / 集積回路 / 論理ゲート / ADコンバータ / InP / InGaAs / InAlAs / HEMT |
Research Abstract |
共鳴トンネルダイオードは700GHzの発振や、THzを超える応答性が報告されている超高周波デバイスでる。本研究は、これを用いて従来技術では不可能な超高速集積回路技術を開拓することを目指している。 1.共鳴トンネルカオス集積回路 共鳴トンネル素子は強い非線形性をもつため、簡単な回路でカオスの生成が可能である。我々は、これまでに周斯的リセット回路を導入したカオス回路を用い高周波のカオス波形の観測に初めて成功した。今年度はこれをさらに発展させ、カオスの初期条件制御方法に関して検討を行った。より多くの初期条件が選択可能なカオス制御方法として、外部電圧とリセットの位相を制御する方法を提案し、その可能性をシミュレーションにより示した。さらに、この回路をInP基板上に試作し、12GHzにおいてその効果を実証した。これにより、カオスから望みの信号を選び出すことができれば超高速パルスパターン生成器など、カオスの新しい応用が可能となると考えられる。 2.共鳴トンネル論理ゲートMOBILEを用いたΔΣAD変換器 これまで研究を続けてきたHEMTをフィードバック回路に用いたΔΣ変調器に関して、試作によりノイズシェーピング効果を確認した。ただし、ノイズフロアはかなり高く、これを解決するためにはデバイス特性の向上など、いっそうの検討が必要である。そこで、MOBILEの高速性をより直接的に生かせる新しい方式のΔΣ変調器の検討を開始した。これはFM信号の特性を用いた新しい方式で、フィードバックなしにΔΣ変調器が構成できるため、高速化に適するという利点がある。我々はInP基板上に作製したMOBILEを用いて実験を行い、その基本動作を確認した。簡単な実験にもかかわらず3桁以上の広い周波数範囲で理想的なノイズシェーピング特性が獲られた。本方法はMOBILEを用いた超高精度・高帯域ADCに有効である。
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Research Products
(3 results)