2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15360203
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
島田 正治 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20262462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 昌平 長岡工業高等専門学校, 電気工学科, 助手 (90332006)
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Keywords | 独立成分分析法 / ゾーン分離法 / クロトークキャンセラ / 遠隔拡声通信会議 / 伝達関数 / 剛球モデル / 球殻音源 / 擬似口 |
Research Abstract |
1)複教話者(音源)信号分離手法の研究 独立成分分析法(ICA)、ゾーン分離法(SAFIA)、クロストークキャンセル法(CTC)の3手法について、シミュレーションと実験により、比較検討を行った。その結果、話者に対応したマイク配置(マイク間距離60cm)の場合、ICAは十分な分離性能が得られず、SAFIAは周波数成分を取り除く演算処理を行うため、ミュージカルノイズが発生する。また、CTCは優れた分離性能を有し、話者と隣接話者との信号分離比は15dB程度得られることがわかった。 しかしながら、CTCの分離性能は話者(音源)移動に対しく極端に劣化する。これを確かめるためにシミュレーションと実験を行った。その結果・音源が10cm左または右に移動しただけで、再生音質が急激に劣化し、除去すべきクロストーク成分の影響が大きいことがわかった。 今後、トーカ・トランスファ・サウンドシステム(TTS)に適合したマイク配置とその演算手法について検討を進める。 2)伝達特性の変動の研究 通常の遠隔拡声通信会議では通話相手だけでなく隣接者との会話等により、話者頭部の回転移動が生じ、マイクに入力される音声品質が劣化する。TTSを実現するためには、机上に置かれたマイク位置や同室内の隣接者の影響による話者からマイクまでの伝達特性を把握することが重要となる。そこで、話者を表面の一部がピストン運動する球(球殻音源モデル)、隣接者を球で見立てた理論解析を行った。実験では2台のHATS(Head And Torso Simulator)を設置し、擬以口を有するHATS(話者)から音波を放射し、他方のHATSを隣接者に見立て、机上マイク高さや話者の頭部回転による伝達関数の変動について検討した。 理論と実験から考察した結果、(1)机上マイクの高さにより伝達関数の収音帯域に制限が加わることを明らかにした。これは、放射音波が直接マイクに収音される成分と、机により反射し遅延して収音される成分とが加算されるたあである。(2)伝達関数は頭部回転により高域特性が劣化し、周波数5kHz、回転角45゜で-5dBの劣化、回転角90゜で-10dBの劣化を生じることが判った。(3)隣接者の音波の回折・反射の影響により伝達特性にリプルが生じる。その値は-10〜15dBであることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 嶋津, 穂刈, 島田: "拡声会議における机上マイクまでの伝達関数の検討"日本音響学会2003年春季研究発表会講演論文集. 3-P-22. 771-772 (2003)
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[Publications] 大山, 穂刈, 島田: "複数受聴者対応型拡声通信に用いる音源分離手法の比較"日本音響学会2003年春季研究発表会講演論文集. 3-P-23. 773-774 (2003)
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[Publications] 嶋津, 穂刈, 島田, 杉山: "話者の頭部回転による伝達関数変動に関する検討"電子情報通信学会 技術研究報告 応用音響. EA2003-63. 41-44 (2003)
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[Publications] 嶋津, 穂刈, 島田, 杉山: "話者の頭部回転による伝達関数変動に関する検討"日本音響学会2003年秋季研究発表会講演論文集. 1-P-21. 619-620 (2003)
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[Publications] 宮原, 穂刈, 島田: "音源移動によるクロストークキャンセラの出力誤差について"平成15年度電子情報通信学会信越支部大会講演論文集. F9. 137-138 (2003)
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[Publications] 嶋津, 穂刈, 島田, 杉山: "話者の頭部回転による伝達関数変動の検討"平成15年度電子情報通信学会信越支部大会講演論文集. F10. 139-140 (2003)