Research Abstract |
平成15年からの環境促進実験を継続的に行い基礎的データを収集し,鋼材やゴム支承の長期間の劣化特性を把握するとともに,合理化橋梁と従来型橋梁のライフサイクルアナリシスを実施した. 1)鋼材:種々のケレンを行った鋼材を再塗装し,環境促進実験を行い,その防錆の劣化性能結果をまとめて論文発表を行った.また,A, I, C塗装を持つ鋼材の長期環境促進実験を,S6サイクルの塩水噴霧複合サイクルで行った.ウェザロ試験片の下部に水平な素地露出部を持つものと,径の異なる円形形状の素地露出部を持つものを使い,素地露出部からの錆の進行などの劣化特性を明らかにした.これらの基礎的データによって,橋梁などの設置位置を考慮したライフサイクルアナリシスを可能とし,橋梁の維持管理モデルを構築できるよう検討した. 2)平成15年度に導入した酸性雨複合サイクル実験装置を使い,溶融亜鉛めっきおよび3種類の金属溶射(亜鉛アルミ合金溶射,亜鉛アルミ擬合金溶射,アルミ溶射)の合計4種類の金属皮膜を持つ,鋼材の長期環境促進実験を行い,その特性を明らかにした.アルミ溶射がもっともよい性能を示した. 3)鋼・コンクリート境界部:コンクリートに鋼材が埋め込まれた部位の腐食劣化の評価を行うため,部材レベルの供試体を作り行った,塩水噴霧複合サイクル実験結果をまとめて,論文発表を行った. 4)ゴム支承:ゴム支承の5つのメーカーから提供を受けて行った,5つの環境要因(塩水噴霧複合サイクル,酸性雨複合サイクル,熱老化,光劣化,オゾン劣化)の環境促進実験結果を整理し,天然ゴム,クロロピレンゴム,高減衰ゴムなどの長期劣化特性を定量的に明らかにした.また,ゴム支承内部の劣化特性についても,ゴムブロックを用いた加熱劣化促進実験を行い,長期劣化特性を明らかにして,任意の環境条件でのゴム支承の剛性変化と減衰特性の変化を予測できるモデルを検討した. 5)橋梁:I型桁橋,箱形橋,トラス橋について,合理化橋梁と従来型橋梁のライフサイクルアナリシスを実施し,ライフサイクルコストとライフサイクル環境負荷の特性を明らかにして,論文発表を行った.
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