Research Abstract |
本研究は,日本道路公団によって試験施工され,その有効性が多方面から検証された結果,高橋脚の標準とされるに至った鋼管・コンクリート複合構造橋脚に着目し,一層の合理化を新材料等の活用により実現しようとするものである.この鋼管・コンクリート複合橋脚は,鉄骨・鉄筋コンクリート構造に分類され,帯鉄筋のかわりにPC鋼より線を螺旋状に巻き立てた複合構造橋脚であり,鉄管を先行して立て込み,それを足場として柱断面コンクリートの施工型枠を移動させ,急速施工を可能とし,PC鋼より線巻き立てによるじん性向上,橋脚柱上下部端での縞付き鋼管による付着向上等の新しい試みが取り入れられた合理的構造である.しかし,主鉄筋およびPC鋼より線が,外側から鋼管に巻き立てるコンクリートを拘束してはいるものの,マスコンクリート打設に伴う温度上昇が,円周方向にコンクリートをひび割れさせ,施工管理上の問題となっている.この問題点を解決するためには,主鉄筋を外側鋼管に置き換えた無筋コンクリート充填2重鋼管構造とするか,外側に材料異方性を最適化した繊維強化プラスチック管(FRP管)を配置し,無筋コンクリートを充填したFRP管-鋼管による2重管構造を提案し,検証するものである. 平成16年度においては,安価なガラス繊維強化プラスチック材,他の高機能なアラミド繊維,ボロン繊維などを用いた繊維強化プラスチック材との併用,鋼材ならびにコンクリートとの付着性状に関して,接着面での垂直応力の影響,接着剤の性能,縞状突起などの多様な表面性状に対する付着強度について再調査を行った.また,部材断面内の多本数の鋼管配置(コンクリートを抜く部位)に関して,ファイバー法を用いた曲げ耐力解析結果から,鋼管を断面図心から離して配置することは,望ましくないことがわかった. これらの知見を踏まえて,高機能の開発が著しい鋼材,新材料の繊維強化プラスチック材,施工性の改善を目指したコンクリート材料の有効な協働作業を実現する新しい複合構造形式の構造物の提案を行った.
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