2004 Fiscal Year Annual Research Report
液状化に伴う流動が杭基礎に及ぼす影響の微視力学的検討
Project/Area Number |
15360249
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 恭央 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (90111476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 亘志 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教授 (60251625)
榊原 潤 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教授 (10292533)
小長井 一男 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50126471)
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Keywords | 液状化 / 杭基礎 / 可視化実験 / SPH / 微視力学 / 構成則 |
Research Abstract |
液状化に伴う流動は、液状化してせん断抵抗力を失った地盤が、数mにも達する大きな変位を生じる現象であり、その流動圧によって橋梁や建物の基礎杭が被害を受ける。我が国では海岸線沿いに多くの大都市が立地しており、このような液状化・流動化危険地域において適切に杭の設計を行うための設計体系の立案が急務とされている。もともと固体的であった飽和地盤が強震動により液状化すると、その後はあたかも流体のように振る舞うが、ある大きさ以上のせん断歪みに到達すると急激にせん断剛性が回復して、その後は再び固体のように振る舞う。本研究では、このような複雑な材料特性のモデル化を粒状体の微視力学を用いて検討する。そして、得られた材料特性を用いて流動地盤と杭の相互作用を解析するために、有限変形問題特有の数値解析上の問題、歪みの局所化の問題、現象の3次元性などを考慮した新しい解析過程の構築を行う。 本年度は、以下の3項目を並行して実施した。 (1)液状化およびそれに伴う側方流動のLAT可視化実験と杭に作用する流体力の計測 前年度の簡易振動台実験の結果を踏まえ、本年は透水試験装置を改良した疑似液状化地盤内の杭の横引き実験の可視化を行った。動水勾配を変化させることによって、異なる粒子濃度の擬似液状化地盤を作りだし、その内部を杭モデルが移動するときの抵抗力を計測したところ、液状化率が20%程度までは抵抗力は大きく、また杭の移動速度依存性も見られないのに対し、30%を過ぎると、抵抗力が急激に低下し、同時に速度依存性が現れた。これは、材料が固体から液体へと相変化したことによると考えられ、実験手法の有効性が確認された。また、移動する杭周りの粒子運動の可視化にも成功した。 (2)SPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)法による流動化地盤のシミュレーション 流動地盤の大変形解析が可能なSPH法を用いて、液状化した地盤の変形解析を行い、既往の振動台実験結果との比較を行った。ここでは、液状化地盤をビンガム流体として解析し、実験結果をある程度再現できることを確認した。次年度は、せん断剛性回復などを表現できる構成則を導入した解析等を行い、実構造物への適用が可能な解析手法の確立を目指す。 (3)粒状体の微視力学に立脚した構成則の基本形の誘導 流動化地盤の剛性回復メカニズムや杭周りのサイズ効果等を考慮できる、微視力学構成則の基礎研究を行った。
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Research Products
(6 results)