2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国古代の版築技術の日本への伝播経路とその変遷-中国良渚文化時代の基壇から日本古墳まで-
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15360255
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鬼塚 克忠 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20037948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 一彦 関西大学, 工学部, 教授 (20067581)
根上 武人 佐賀大学, 理工学部, 助手 (30325592)
柴 錦春 佐賀大学, 低平地研究センター, 助教授 (20284614)
菅谷 文則 滋賀県立大学, 人間科学部, 教授 (10275175)
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Keywords | 版築 / 地盤調査 / 良渚遺跡群 / 莫角山遺跡 / 会観山遺跡 / 塘山防洪堤 / 突き固め / 基壇・祭壇 |
Research Abstract |
中国・良渚文化時代の版築構造物の地盤工学特性と構築技術の解明 昨年(2003)の8月、1週間ほどかけて中国・杭州市内の良渚遺跡群の地盤調査を行い、採取土については現地、浙江大学の実験室で1ヶ月ほど土質試験を行った。調査を行ったのは次の三つの遺跡である。 莫角山遺跡:莫角山遺跡内の大莫角山の南、約50mの地点である。以前、海外共同研究者の一人である、王明達氏ら(浙江省考古文物研究所)が調査し、表土を1.5mほど削除した窪地である。素堀の溝の層状断面の観察、深さ約10m近くまでの標準貫入試験、これらの地点での乱さない試料の採取である。過去の調査結果を含め総合的に判断して、深さ10m近くまで盛土であり、一部杵による突き固めがなされた版築層であるといえる。 会館山遺跡:祭壇の近くで標準貫入試験と乱さない試料の採取を行った。盛土層厚は数mで薄く、また版築層は確認できなかったが、ここから少し下った斜面に人工突き固め層が現れており、これが紹興の越王陵の版築壁と物性、強度ともに、きわめて類似している。 塘山防洪堤:全長8.5km、幅約30-70m、地表からの高さ3-5mの盛土構造物である。この切り通し地点で、上記と同様の地盤試験を行った。N値は9-13で、かなり高密度に突き固められている。王明達氏らの、地表面を掘り下げての観察により、層状の突き固め基礎が確認されている。 まとめ:今回の良渚遺跡地盤構造物の調査結果と土とん墓や吉野ヶ里墳丘墓とを比較すると、今から4-5千年前に、かなり大きな密度に突き固めて、基礎を設け、その上に基壇、祭壇、堤防など、巨大な地盤構造物を構築していることが分かる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Onitsuka: "Geotechnical Characteristics and Construction Methods of Yoshinogari Fun-kyu Tomb in Japan and Tu-dun Tombs in china"Journal of Geotechnical engineering(土木学会論文集). No.736/III-63. 1-17 (2003)
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[Publications] 鬼塚克忠: "吉野ヶ里遺跡・北墳丘墓など盛土遺跡の地盤工学特性と構築技術"土木学会論文集. No.736/III-63. 217-230 (2003)
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[Publications] 鬼塚克忠: "版築技術のルーツとその変遷"第38回地盤工学会研究発表会、平成15年度地盤工学研究発表会. 31-32 (2003)
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[Publications] 押領寺 祐也: "室内・室外における中国古来の添加剤による土の改良効果"土木学会第58回年次学術講演会講演概要集. 1257-1258 (2004)
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[Publications] 鬼塚克忠: "中国・良渚遺跡群における地盤構造物の調査"平成15年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集. A370-A371 (2004)
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[Publications] 押領寺 祐也: "石灰と桐油・樹脂を添加した遺跡土の諸性質"平成15年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集. A310-A311 (2003)