老朽下水道管の復旧に関わる地盤工学的諸問題に関する研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15360257
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Osaka City University
• Principal Investigator: 東田 淳 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90128744)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 吉村 洋 阿南工業高等専門学校, 建設システム工学科, 助教授 (20342561)
• Keywords: 下水道管 / 老朽管 / 復旧 / 空洞 / 土と構造物の相互作用 / 長期挙動 / 埋戻し土 / 剛性

Research Abstract

1.損傷した下水道管周囲の空洞形成シミュレーション
内寸法が高さ106cm×幅50cm×奥行き13cmの中型土槽に詰めた細粒分含有率の異なる2種類の土供試体に水を側面から浸透させ、容器底板にあけた溝から排水させることによって崩壊させた。老朽管の損傷(クラックと継ぎ手の離れ)の程度は、容器底板にあけた溝の幅を0.5〜3cmの範囲で4通りに変えることによってシミュレートした。地盤材料の細粒分含有率、密度、溝幅の3つを変化させた12ケースの実験から、側方からの水流によって、浸潤線付近が崩れ、支えを失った上方土塊が下方に沈み込むように崩壊が生じ、雨水が地表面から地盤下方へと浸透する条件で実施した小型模型実験で得られた崩壊の様子とはかなり異なることを確かめた。
2.輪荷重の繰返し載荷による地盤材料の剛性変化測定
K0圧縮試験機に詰めた細粒分含有率と密度を変えた3供試体に対して、低サイクル疲労試験機により1.5Hzで30万回の輪荷重繰返し載荷を実施して、繰返し回数Nの増大につれて、インターロッキング現象により側方圧が増え、圧縮ひずみが減り、その結果、変形係数とポアソン比がそれぞれ大きく増大、減少することを確かめた。また、細粒分含有率が16%のまさ土供試体は、密度に関わらずNが30万回程度でほぼ変形係数が同じ値に収束するのに対して、細粒分含有率が0%の珪砂供試体は、変形係数の増大傾向が続くことが分かった。
3.地盤材料の剛性変化を考慮した埋設管のFEM解析
2.の試験から、輪荷重の繰返し載荷によって変形係数とポアソン比が大きく変化することが分かったので、この変化を開発済みのFEMプログラムに取り入れた。現在、計算結果の整理方法を検討中で、管・地盤の相互作用の経時変化を予測するための手法としてまとめていく予定である。