2003 Fiscal Year Annual Research Report
大気―都市境界層乱流場の統一LESソルバーの開発と乱流相似理論への応用
Project/Area Number |
15360262
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
神田 学 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90234161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 亮 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10302952)
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Keywords | LES / 都市の大気 / 乱流構造 / 都市境界層 / ストリートキャニオン / 住宅群 |
Research Abstract |
大気安定度を考慮した既存の気象用の乱流数値解析手法Large Eddy Simulation(LES)をベースにしながら、複雑な都市の幾何形状を低い計算負荷で容易に計算可能な新しいモデル(LES-CITY)を開発した。具体的には、(1)建物群の表現にマスキングと言われる手法を用いることにより、建物境界にメッシュを集中させるいわゆる境界適合格子を用いること無しにシンプルなデカルト等間隔格子で幾何形状を表現している、(2)圧力解法に多大な計算負荷を生じさせる収束計算を要しないFFT直接解法を採用することにより、従来計算に比べて1オーダー上の高速解法を実現している。モデルは、Uehara et al.(2000)の風洞実験データと比較され、各種乱流統計量が実用に供する高い精度を有することが実証された。また、シンプルな建物配列の場における乱流構造を詳細に解析した結果、(1)従来rough surfaceには存在しないと考えられていた建物スケールの十数倍に及ぶ大規模な乱流構造=低速ストリークが境界層中に存在することが示され、(2)これは、いわゆる植物層の乱流で指摘されているmixing layer analogyとは異なるメカニズムを有していること、さらに(3)従来から教科書で示されている建物群密度と流れパターンの3つのレジーム(wake : interfacial : skiming)については、時間・位相平均を施すと残差流として確かにその存在が確かめられるものの、上空の乱流構造との関連性で間欠性が極めて強く、瞬間的にはそのような流れパターンは実現していないことが、示された。 また、計算出力を可視化サーバーに接続し、建物群上空に出来る乱流組織構造をAVSによる可視化技術を用いてアニメーション化したところ、大規模な低速ストリークの周りに符号の逆転する小スケールの縦渦壁が多数連結している乱いわゆる「パケット構造」の存在が明確に確認された。これらの研究成果は、国際都市気象学会などで発表され、大きな議論を呼んだ。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Kanda, R.Moriwaki, F.Kasamatsu: "Large eddy simulation of turbulent organized structure within and above explicitly resolved cubic arrays"Boundary-Layer Meteorology. (in print).
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[Publications] 笠松扶美, 神田学, 森脇亮: "LESによる都市建物群内及び上空における乱流の組織構造"土木学会水工学論文集. 48(1). 607-612 (2004)
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[Publications] M.Kanda: "Progress in the scale modeling of urban climate"Fifth International Conference on Urban Climate, 2003(Invited lecture). (2003)
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[Publications] T.Kawai, M.Kanda: "A Simple 3d Urban Street Canyon Model for Meso-Scale Simulation"Fifth International Conference on Urban Climate, 2003. (2003)
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[Publications] M.Kanda: "LES Study on Turbulent Organized Structures in and Above Street Canyons"Fifth International Conference on Urban Climate, 2003. (2003)
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[Publications] 神田 学: "都市気象と水・熱循環"日本気象学会水循環シンポジウム-21世紀の研究課題と展望-. 21-24 (2003)