2003 Fiscal Year Annual Research Report
大規模水害に対する都市の危機管理のための総合シナリオ・シミュレータの開発
Project/Area Number |
15360273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
片田 敏孝 群馬大学, 工学部, 助教授 (20233744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺田 純作 松江工業高等専門学校, 土木工学科, 助教授 (90342542)
今村 文彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40213243)
真野 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50111258)
越村 俊一 人と防災未来センター, 専任研究員
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Keywords | 大規模水害 / 危機管理 / 避難行動 / 災害情報伝達 / 避難意思決定 / シナリオ・シミュレーション |
Research Abstract |
本研究で開発する洪水災害総合シナリオ・シミュレータは,洪水氾濫解析,災害情報伝達,避難行動の3つのサブ・モデルが連動することによって機能する.これらのサブ・モデルは,その入力情報をすべてGISで管理すると同時に,計算結果もGISに格納,連携させることでサブ・システム間のデータの受け渡しをする.このため,すべてのサブ・システムの開発に先立ち,共通のGISプラットホームを構築した.このプラットホームは、洪水に関わる各サブ・システムが未完の状態にあるため,暫定的に従来の研究で蓄積を有している津波を事例に開発を行った。 都市施設や土地利用にシナリオ想定を可能にした市街地洪水氾濫解析システムの構築については、東海豪雨解析システム構築のための基礎情報の収集を行う一方で、関連する基礎技術を開発するためレーダーアメダスを用いた流出解析技術の開発や破堤氾濫の大きな要因となるパイピングの発達過程の検討を行っており、来年度にまたがって,土の連続構造物などの都市施設や市街地の土地利用を考慮した解析へと発展させる予定である。 情報収集・伝達体制と住民の情報伝達行動にシナリオ想定を可能にした情報伝達解析システムの構築については、台風の接近過程での住民や行政の情報取得実態、利用実態を明らかにし、それらの行動について形成メカニズムを明らかにした。また、建設CALS/ECなどの情報伝達システムの効率的利用についても検討を行った。情報伝達シミュレーション・システムについてはGISプラットホームへの搭載を可能にする技術開発を行った。 洪水氾濫,情報伝達と連動した避難行動シミュレーション・システムの構築については、その前提として必要になる避難意思決定を中心に研究を遂行し、プロトタイプの意思決定モデルの構築を行った。実際の災害時における検証の必要性から、一部の研究を津波に関わる避難の意思決定で展開しているが、本質的な構造は洪水時のそれに転用が可能である。
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Research Products
(23 results)
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[Publications] 片田 敏孝: "台風接近過程における住民の情報取得行動と危機意識の変遷に関する研究"河川技術論文集. 第9巻. 293-298 (2003)
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[Publications] 片田 敏孝: "台風接近過程の自治体対応における情報利用に関する実証的研究"河川技術論文集. 第9巻. 299-304 (2003)
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[Publications] 片田 敏孝: "洪水ハザードマップの住民認知とその促進策に関する研究"土木学会水工学論文集. 第48巻. 433-438 (2004)
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[Publications] 児玉 真: "災害時における住民の情報取得態度の規定要因に関する構造分析"土木計画学研究・講演集. Vol.27(CD-ROM). 57-57 (2003)
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[Publications] 及川 康: "台風接近時における住民の災害情報取得と危機意識の変遷に関する実証的研究"土木計画学研究・講演集. vol.27(CD-ROM). 53-53 (2003)
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[Publications] 小葉竹重機: "住民参加による土砂災害避難システムの構築"自然災害科学. vol.22 No.4. 417-428 (2004)
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[Publications] 片田 敏孝: "洪水ハザードマップの認知構造と認知促進策に関する研究"土木計画学研究・講演集. Vol.28(CD-ROM). 147-147 (2004)
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[Publications] 江川 幸佑: "大倉ダム流域における物質輸送に関する研究"東北地域災害科学研究. 第40巻(印刷中). (2004)
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[Publications] 大橋 誠一: "レーダーアメダスを用いた阿武隈川の流出解析"東北地域災害科学研究. 第40巻(印刷收). (2004)
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[Publications] 市花 圭一郎: "パイピングの発達過程に関する基礎実験"東北地域災害科学研究. 第40巻(印刷中). (2004)
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[Publications] Hiroyasu Kato: "Flood runoff model on one kilometer mesh for the Upper Chang Jiang River, International Conference of GIS and Remote Sensing in Hydrology"Water Resources and Environment. (会議録). 156-163 (2003)
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[Publications] 富樫 昇: "阿武隈川の洪水時の浮遊土砂輸送"水工論文集. 第48巻(印刷中). (2004)
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[Publications] 加藤 宏康: "長江上流域における洪水流出解析"水工論文集. 第48巻(印刷中). (2004)
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[Publications] Imamura Fumihiko: "Re-examination of the source Mechanism of the 1998 Papua New Guinea earthquake and tsunamis"Pure and applied Geophysics. vol.160 no.10-11. 2053-2069 (2003)
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[Publications] 原田 賢治: "防潮林による津波減衰効果の評価と減災のための利用の可能性"海岸工学論文集. 第50巻. 341-345 (2003)
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[Publications] 豊田 泰晴: "地震長期評価を組み入れた津波防災事業の定量的評価に関する研究"土木学会地震工学論文集. 27号. 201-210 (2003)
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[Publications] 金子 資子: "日本海中部地震津波における人的被害についての考察"土木学会第58回年次学術講演会. II-2287. 555-556 (2003)
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[Publications] 安倍 祥: "災害を題材にした理科教育の効果に関する研究-仙台市科学館における地震や津波の実験学習-"日本自然災害学会学術講演会. 第22回. 175-176 (2003)
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[Publications] 安倍 祥: "津波に関する体験的学習が防災意識にもたらす効果"土木学会第58回年次学述講演会. II-227. 553-554 (2003)
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[Publications] 安倍 祥: "地形情報を活用した津波対応地域型防災マップ作成の試み"日本災害情報学会 第5回研究発表大会. 205-208 (2003)
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[Publications] 淺田 純作: "地元建設業による河川氾濫時の被害軽減策の検討"土木学会 第58回年次学術講演概要集. CS3. 87-88 (2003)
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[Publications] 越村 俊一: "津波による人的被害軽減のための避難戦略の評価手法に関する研究"土木学会 海岸工学論文集. 第50巻. 1336-1340 (2003)
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[Publications] 越村 俊一: "災害情報伝達と住民避難に着目した津波防災戦略の評価手法"土木学会 地震工学論文集. 第27巻(CD-ROM). 142-142 (2003)