2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境資本のサービスを考慮した環境・経済モデルの開発
Project/Area Number |
15360287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 譲 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (90109033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山敷 庸亮 京都大学, 地球環境学堂, 助手 (20335201)
藤原 健史 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (90229071)
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Keywords | 環境資本 / 水需要モデル / 経済モデル / アジア地域 |
Research Abstract |
これまでの研究で開発してきた 1)地表面付近の水循環機構に基礎を置く水資源モデル、 2)都市、工業、灌漑による水需要と水消費を記述する取水・排水モデル に以下のような拡張を行い、環境資本制約と環境サービス維持費用の算出メカニズムを盛り込んだ。 1)のモデルは蒸発散、土中水分量収支、表面流出及び下流流下のプロセスからなるが、潜在蒸発散量の土地被覆及び栽培穀物種との依存性の記述、確率年毎の再生可能水資源量(渇水量)計算、貯水池データベースとの連結作業を行った。 2)の水需要・消費を記述するモデルでは、都市用水に関しては1人あたりGDP変化に基づき、工業用水については工業出荷額に応じ、発電冷却用水については汽力発電量変化から、灌漑用水については灌漑面積と穀物種・生産量から需要・消費量を推計するモデルを開発した。このモデルをベースとして使用水の回収・反復利用の明示的な記述、取水・導水・浄水・配水・排水・水処理の簡易な費用計算機能を整備し、社会・経済システム内の環境資源の調整、消費部門としての生産関数、消費関数を同定した。 上に述べた二つモデルは、相互依存関係が強い。この依存関係のモデル化も本年度研究の大きな課題であった。 これらのモデルの実体は、GRASS(地理情報システム)上にC言語で記述したプログラムモジュールである。潜在蒸発散、土中水分量収支、水需要推計などは独立したモジュール群として開発しており、それらを因果関係に応じ逐次的に実行するような工夫を行なった。各モジュールの入出力は、GISのラスターファイルとして受け渡される。各種需要は、トップダウン型の経済モデル出力から各地域地域の社会経済量に基づいて推計するが、この部分のモジュールは、GAMS言語(一般化代数モデリング言語)及びC言語で記述した。環境サービスの生産・需要間の調整(均衡)は、サービス価格あるいはシャドウプライスとサービス量の値をモジュール間で交換することによって行うが、この部分均衡的な調整に関しては、現在作業中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 河瀬玲奈, 松岡 譲, 内藤正明: "食品廃棄物の循環が我が国の経済に及ぼす影響"環境衛生工学研究. 17(3). 127-134 (2003)
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[Publications] 河瀬玲奈, 松岡 譲, 内藤正明: "応用一般均衡モデルを用いたわが国における食品廃棄物循環の経済的影響評価"環境システム研究論文集. 31. 47-54 (2003)
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[Publications] 金森有子, 松岡 譲, 藤原健史: "家計の消費働と発生環境負荷の係わりに関するモデルの構築"第31回環境システム研究論文発表会講演集. 93-98 (2003)
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[Publications] 増冨祐司, 松岡 譲: "土地劣化の影響評価モデルによる劣化防止・緩和策の費用便益分析"第31回環境システム研究論文発表会講演集. 123-128 (2003)
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[Publications] Jung, H., Jeon, S., Lee, D., Matsuoka, Y.: "Evaluation of vegatation adaptability to climate change on the Korean Peninsula using forest moving velovity"J.Environmental Impact Assessment. 12(5). 383-393 (2003)
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[Publications] 松岡 譲: "二酸化炭素排出・吸収と温暖化見通し"エネルギー・資源. 24(2). 9-13 (2003)