レンガ造を中心とする歴史的建築物への非破壊検査技術の適用性

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15360296
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Nagoya University
• Principal Investigator: 谷川 恭雄 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70023182)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 青木 孝義 名古屋市立大学, 芸術工学部, 助教授 (10202467) ; 黒川 善幸 名古屋大学, 環境学研究科, 助手 (50242839) ; 森 博嗣 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (80157867) ; 込山 貴仁 (株)コンステック, 主任研究員
• Keywords: ウィンザーピン法 / 目地モルタル / 穿孔式簡易測定器 / ビット形状 / サーモグラフィ画像 / 色彩値 / ヴィコフォルテ教会堂 / 外壁の浮き

Research Abstract

本年度は、下記の4課題について研究を行った。
1.ウィンザーピン法による目地モルタルの強度推定方法
レンガ造構造物の構造耐力の算定には、レンガと目地モルタルの強度が必要であるが、非破壊的に目地モルタルの強度推定を行える方法はあまりない。そこで、各種強度レベルのモルタル供試体を作成して、ウィンザーピンを用いた貫入抵抗試験を行い、強度推定の較正式を作成した。その結果、反発度法と同等以上の推定精度を得た。
2.構造体表層強度推定のための穿孔式簡易測定器の開発
鉄筋コンクリート造やレンガ造構造物の強度推定にはコア強度が最も信頼されているが、構造体を傷めるため、供用中の構造物においては本数が制限される。そこで、表面部分のみ穿孔を行うことで、局部破壊的に強度推定を行う方法を開発した。ビットの形状や回転数などを検討した結果、強度レベルによって最適な条件が異なることがわかった。
3.色彩値によるサーモグラフィ画像の補正方法
赤外線サーモグラフィ法は、構造物の壁面などを非接触で一度に欠陥探査することのできる非破壊試験であるが、日射を利用して外壁の表面温度を測定する際には、表面色の影響を大きく受ける。そこで、可視画像から得られる表面色情報によって壁面各部の日射吸収率を算定し、サーモグラフィ画像の補正を行う方法について検討した。
4.ヴィコフォルテ教会堂の劣化現況調査
楕円形ドームとしては世界最大のヴィコフォルテ教会堂であるが、建設時からの不同沈下等により無数のひび割れや劣化が進行している。そこで、各種の非破壊試験により劣化現況調査を行った。その結果、不同沈下の停止と構造補強材の現状を確認し、また、外壁においても多数の浮きやひび割れなどの劣化を確認した。

Research Products

• [Publications] 青木孝義: "ヴィコフォルテ教会堂の劣化現況に関する非破壊検査"コンクリート工学年次論文集. Vol.25, No.1. 1613-1618 (2003)
• [Publications] 黒川善幸: "電磁波レーダ法によるコンクリート内部探査画像の改善手法に関する研究"コンクリート工学年次論文集. Vol.25, No.1. 1691-1696 (2003)
• [Publications] 長谷川哲也: "構造体の表層部強度を推定するための携帯用測定機器の開発"コンクリート構造物の非破壊検査への期待シンポジウム論文集. 107-114 (2003)
• [Publications] 和籐 浩: "劣悪コンクリートの簡易診断に関する実験的研究"コンクリート構造物の非破壌検査への期待シンポジウム論文集. 123-132 (2003)
• [Publications] 込山貴仁: "ヴィコフォルテ教会堂を中心とする歴史的建築物の劣化現況調査と保存修復方法の提案 その3.構造材料の強度推定法に関する研究"日本建築学会大会学術講演梗概集(東海). A-1. 153-154 (2003)
• [Publications] 藤森 繁: "モルタルの表面色を考慮した赤外線サーモグラフィ画像の補正手法に関する基礎的研究"日本建築学会大会学術講演梗概集(東海). A-1. 835-836 (2003)