2005 Fiscal Year Annual Research Report
レンガ造を中心とする歴史的建築物への非破壊検査技術の適用性
Project/Area Number |
15360296
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
谷川 恭雄 名城大学, 理工学部, 教授 (70023182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 孝義 名古屋市立大学, 大学院・芸術工学研究科, 助教授 (10202467)
黒川 善幸 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (50242839)
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Keywords | 非破壊検査 / レンガ造建築物 / 歴史的建築物 / 赤外線サーモグラフィー法 / 消石灰モルタル / 色彩値 / 削孔式表層強度試験器 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は,以下の2項目に大別される。 (I)各種非破壊検査技術に関する研究 1)赤外線サーモグラフィー画像の補正方法に関する研究 (1)壁面の表面色および表面粗さの補正方法:色彩値を用いて建物壁体の表面色および表面粗さを定量化し、赤外線画像を補正する方法について検討した結果、壁面の色彩値と表面温度および欠陥部と建全部との表面温度差には、よい相関が認められること、デジタル画像を利用して表面色の影響が補正可能であること、表面色から概算した日射吸収率によって、表面粗さの影響を除去できる可能性があること、などを明らかにした。 (2)人工光源によるサーモグラフィー画像の補正方法:日射のない条件下で、人工光源を利用して得られたサーモグラフィー画像を補正するために、壁面の照度分布に着目し、入射熱量の分布を考慮した数値解析手法を提案した。また、検証実験の結果、デジタルカメラによって測定した輝度分布の方が、照度計によって測定した照度分布を用いるよりも、画像の補正精度が向上することを明らかにした。 2)色彩値による消石灰モルタルの力学特性の推定方法に関する研究 多くの歴史的組積造建築物の目地材に使用されている消石灰モルタルの色彩による劣化診断法の可能性および補修部分のカラーマッチングの可能性について検討した結果、モルタル表面の色彩値から、調合と動弾性係数が推定可能であること、レンガ粒の粗粒率が小さいほど、また、消石灰に対する細骨材とレンガ粒の混入量が多いほど、色鮮やかになり、明度が小さくなること、調合と色彩値の関係を用いることにより、カラーマッチングが可能であること、などを明らかにした。 3)削孔式表層強度試験器によるセメント硬化体の強度評価方法に関する研究 試作した削孔式表層強度試験器を用いて、セメント硬化体およびテラコッタの強度を推定するための検量線を作成した。また、筆者らが開発した表層部含浸強化剤の効果を本試験器により確認した。 (II)歴史的建築物の劣化診断に対する各種非破壊検査技術の適用性に関する研究 前年度に引き続き、イタリアのヴィコフォルテ教会堂およびシラクーサ飛行船格納庫の材料強度および構造特性を把握するために、ウィンザーピン貫入試験、電磁波レーダ試験、赤外線サーモグラフィー試験、常時微動計測実験などを行い、歴史的建築物に対する各試験技術の適用可能性と適用限界を明らかにした。
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Research Products
(6 results)