2005 Fiscal Year Annual Research Report
ロマネスク建築における造形原理としての寸法に関する研究
Project/Area Number |
15360328
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 雅嗣 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (80198473)
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Keywords | 建築史・意匠 / 美術史 / 西洋中世史学 / 芸術学 / 歴史的造形理論 / 計量史 / 国際研究者交流 / フランス |
Research Abstract |
・次年度の研究総括に向けての段階に着手した。特に一件の共著図書と三件の論文として発表できた内容は、一つの個別の建築物を例に、寸法が関与する多様な諸側面を論じたものと、多様な事例に基づいて寸法が関与する空間構成あるいは聖性といった次元を論じたものであり、研究全体の射程を二つの対照的な方法・論点で提示したものである。 ・補足的な実測調査を実施した。ル・トロネ修道院について、教会堂・回廊という中心的な建築物以外の集会室・大寝室・倉庫・助修士の建物、その他付属諸室・諸施設の平面を実測し、聖性・重要度においてはそれほど高くない諸部分にも寸法の持つ象徴的な側面が確認できる感触を得た。現在、ル・トロネ修道院全体の平面図を作成中。 ・海外共同研究者に本研究のレヴューを行ってもらい、本研究の内包と外延、総括の仕方、またフランスでの研究成果発表公開の可能性を論議した。 ・フランス国立科学研究所にて、本研究成果の一部について講演を行った。 ・データベースとしての実測図面と画像の整理、未作成の実測図面については継続中。 ・技術的側面と同時に象徴的意味を担う意味的側面を重層させるロマネスク宗教建築における寸法のあり方は、当初の目論見通り、本年度行った補足調査結果にも、あるいは今までに行った調査結果にも一様に想定することは可能であり、これがロマネスク宗教建築の造形原理の一つとして、ロマネスク的建築のあり方の本質の一つであるという結論は、次年度の最終年度に計画している総括において十分検討できる手応えを得た。本年度発表した論考の線上に本研究のまとめが行われることになる。
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Research Products
(4 results)