2006 Fiscal Year Annual Research Report
ロマネスク建築における造形原理としての寸法に関する研究
Project/Area Number |
15360328
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 雅嗣 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (80198473)
|
Keywords | 建築史・意匠 / 美術史 / 西洋中世史学 / 芸術学 / 歴史的造形理論 / 計量史 / 国際研究者交流 / フランス |
Research Abstract |
・実測調査を実施した。フランス、プロヴァンス地方のル・トロネ修道院とラ・セル修道院、ブルゴー二そ地方のテゼ教会堂とアムニ教会堂の二棟の単身廊小規模教会堂の平面の実測調査を行い、寸法の実測データを収集し、実測平面図を作成した。ル・トロネについては、これで、修道院の主要部分の全てについて平面の実測を完了し、細部に至るまで寸法データを収集でき、精緻な実測平面図が完成した。ル・トロネと関係のあるとされるラ・セルについても、修道院のかなりの部分の調査を行い、寸法め収集、整理、精緻な実測平面図の作成を行った。 ・ル・トロネとラ・セルの建築的関係が、寸法の上からも検証できた。同じものさしの使用、同じ寸法体系が幾つかの部分に検証できた。考察結果は、2007年14月の建築史学会にて口頭発表された。 ・テゼの教会堂についても、寸法の分析を通してその建設過程が明らかとなり、幾つかの建設段階を明かにすることが出来た。結果は2007年度の日本建築学会大会で発表される。 ・研究当初の目論み通り、本年の実測調査、分析の結果も、ロマネスクの宗教建築における寸法の二重の意味-建設の技術的意味と空聞に聖性を付与する霊性表現としての意味-を明らかにした。造形原理としての寸法に二重の役割-技術的役割と意味を付与する象徴的役割-が検証できた。個別の検討結果の論文発表は平成18年度も行ったが、未発表の個別事例の発表とともに、現在、個別事例を総合して、ロマネスクの造形原理としての寸法のあり方に関する総括的考察とその論文発表準備を行っている。今回検討した全ての事例にわたって、共通した建築的現れとして重層する二重の意味と役割を寸法に読み取ることが出来る。 ・データベースとしての実測寸法値、実測図面、画像情報の整理は、概ね終えることが出来た。 ・フランスでの論文発表に備えての海外共同研究者との打合せを持ち、発表の可能性を得た。
|
Research Products
(5 results)