2003 Fiscal Year Annual Research Report
鉄基磁性微粒子を孤立分散した半導体酸化チタン膜の合成と磁気抵抗の光誘起効果の測定
Project/Area Number |
15360331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
入戸野 修 福島大学, 教育学部, 教授 (40016564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
史 蹟 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (70293123)
山口 克彦 福島大学, 教育学部, 助教授 (30251143)
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Keywords | 機能性薄膜 / 二酸化チタン / 磁気抵抗効果 / 微粒子 / 鉄 / 光触媒 / スパッタ膜 / 光誘起 |
Research Abstract |
本研究の目的は,異種物質を複合した膜中で隣接した異種物質の界面で起こる電子状態を光(含紫外線)照射により刺激して電子授受の確率を増大させ伝導電子を過剰供給し孤立磁性微粒子間のトンネル電流の増大を図り,その結果として磁気抵抗効果の増大させること(光誘起磁気抵抗効果)を目指す.今年度は最初の試みであり,当初予想した通りに複合膜が合成できるかが課題であった。主な実験結果と今後の課題は以下の通りである。 (1)購入したrf型スバッタ装置で,粉末二酸化チタンの焼結材ターゲットを使用し.電力60〜100WでArガス圧3×10-3Torrで堆積させ,鉄微粒子は直流電源50〜100mA電圧300〜700Vでスバッタさせて半導体二酸化チタン膜中に鉄基磁性微粒子を分散した試料膜を合成できた。鉄基磁性微粒子の分散状態およびサイズは電圧・電流のスパッタ条件で堆積速度を変化させて制御した。今後は.製膜時に基根付近に1軸性の磁場を印加して堆積する鉄基磁性微粒子が結晶異方性を有するよう配慮することにした.(2)合成膜のX線解析した結果、二酸化チタン膜の結晶構造はルチル型であり、鉄微粒子は孤立分散した状態ではなく、連続したBCC構造を示す薄膜であることが分かった。今後トンネル電流が励起される程度に孤立分散した複合膜の合成のためには装置の改良が必要であることが判明し、そのため横配置したターゲットからの堆積を抑制する改良設計を実施した。(3)合成した複合膜は合成後はTiO2/Feの積層構造を成すが,200度の低温度加熱で多層構造を破壊し、鉄微粒子と二酸化チタンは均質に混合することが分かった。(4)磁気抵抗を測定した結果、加熱前の膜では巨大磁気抵抗(GMR)を示すが、加熱後は鉄膜単体膜に相当する磁気抵抗の特徴を示し、この特徴は加熱に伴う構造変化過程と対応して説明できた。(4)今回は鉄微粒子が孤立分散したものでなかったので透明ではなく、光誘起による磁気抵抗の変化は顕著には測定できなかった。(5)一方,ゾル・ゲル法で作成した二酸化チタン膜は400度の加熱処理でアナターゼ型を示し、メチレンブルーによる光触媒能の結果から光誘起特性があることが分かった。 次年度以降,磁性微粒子の分散状態を制御し透明複合膜を合成し光誘起効果と光触媒能を評価する.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.G.Roy, O.Nittono: "Annealing-Induced Properties of Al-N-M(M:Co,Fe)Thin Films"IEEEE Trans.Mag.. 39. 3025-3027 (2003)
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[Publications] J.Shi, Y.Nakamura, O.Nittono: "Perpendicular Magnetic Anisotropy of Co-TiN Composite Films with Nano-Fiber Strucutre"J.Appl.Phys.. 93. 6273-6278 (2003)
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[Publications] T.Sannomiya, Y.Haga, Y.Nakamura, O.Nittono: "Observation of magnetic structures in Fe granular films by differential phase contrast scanning transmission electron microscopy"J.Appl.Phys.. 95. 214-218 (2004)
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[Publications] K.yamaguchi, S.Tanaka, O.Nittono, T.Takagi, K.Yamada: "Monte Carlo simulation of dynamic magnetic processes for spin system with local defects"Physica B. 343. 298-302 (2004)