2004 Fiscal Year Annual Research Report
鉄基磁性微粒子を孤立分散した半導体酸化チタン膜の合成と磁気抵抗の光誘効果の測定
Project/Area Number |
15360331
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
入戸野 修 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (40016564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 克彦 福島大学, 共生システム理工学類, 助教授 (30251143)
史 蹟 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (70293123)
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Keywords | 透明機能性薄膜 / 光触媒能 / 酸化チタン薄膜 / 鉄微粒子 / 磁気抵抗効果 / スバッタ薄膜 / 光誘起効果 / ナノコンポジット膜 |
Research Abstract |
本研究は,異種物質を複合した膜中で隣接した異種物質の界面で起こる電子状態を光(含紫外線)照射により刺激して電子授受の確率を増大させ伝導電子を過剰供給し孤立磁性微粒子間のトンネル電流の増大を図り,磁気抵抗効果の増大させること(光誘起磁気抵抗効果)を目指す.前年度は装置の設計上の不備の関係で当初計画した成膜実験は出来なかった。したがって,本年度の研究計画の実施計画は,(1)スバッタ装置の配置等改良,(2)トンネル電流が励起される程度に孤立分散した鉄微粒子膜の合成,(3)膜の構造評価,(4)合成膜の半導体特性と光吸収特性の測定であった。また,基盤となる技術等は他の研究にも活かされた。本研究の主な実験結果と今後の課題は以下の通りである。 (1)スバッタ装置の配置等改良:2源を利用したスバッタ膜の堆積装置としての機能を発揮できるよう堆積基盤の周囲に遮蔽板を配置して,積層構造を有する不連続な分散粒子膜の製作が可能になった。(2)孤立分散した鉄微粒子膜の合成:遮蔽板配置とスバッタ源の距離・電力を変化させて鉄微粒子の不連続膜を製造することができた。鉄微粒子の膜厚制御は現有装置の性能の点で不可能なので堆積時間による手動制御を採用した。(3)膜の構造評価:前年度は鉄微粒子と酸化チタンが堆積時に混合したと思われる複合構造膜であった。堆積時の酸化チタンはアモルファス状態であり低温加熱(200C)で二酸化チタン膜となった。この時点では微量ながら巨大磁気抵抗効果(GMR)を示した。鉄微粒子の堆積量が増大すると膜の透明度は著しく低下した。しかし,窒素ガス中の加熱処理(400C)後,膜の透明度は著しく増大することが分かった。これは,この加熱温度域が膜の結晶構造がルチル型よりアナターゼ型が安定な温度域のためと思われる。膜の透明度が熱処理により改善されが,同時に半導体特性が顕著となり直流型電気抵抗測定はオーミック接続の課題が出てきた。 今後は窒素ガスを含むスパツタガス中での膜製造,膜を構成する結晶構造の存在比率と膜の透明度および磁気抵抗効果の測定ならびにUV照射効果による光誘起効果の検出に取り組む。
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Research Products
(4 results)