2005 Fiscal Year Annual Research Report
MOCVD原料分子の気相中での化学相互作用と強誘電体薄膜の自己組織化
Project/Area Number |
15360339
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
篠崎 和夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00196388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木口 賢紀 東京工業大学, 総合分析支援センター, 助手 (70311660)
脇谷 尚樹 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (40251623)
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Keywords | MOCVD / 気相分解 / 気相反応 / FTIR / 有機金属原料 / 微構造 / 残留炭素 / トラップ |
Research Abstract |
MOCVD法では,原料の有機金属化合物原料が配管や反応容器内で相互作用を起こし,ガスから薄膜が析出する際に基板との間で複雑な反応を起こすことが知られている.本研究では不明な点が多いMOCVD法による酸化物系薄膜の合成機構に関して,強誘電体薄膜を例に,有機金属化合物原料から目的酸化物薄膜が構築される様子を検討した.PZT薄膜をPb(DPM)_2+Ti(O-iPr)_4(PT用原料)とPb(DPM)2+Zr(O-tBt)_4(PZ用原料)の二組の原料を用いてパルス制御MOCVD法により成膜した.成膜にはPTとPZの混合原料ガスおよびArガス,真空(Vac)の雰囲気を組み合わせた4種類のパターン(A:PT/Ar/PZ/Ar/…,B:PT/Vac/PZ/Vac/…,C:PT/PZ/…,D:PZT(連続))について行った.基板にはSi単結晶、MgO、SrTiO_3、LaAlO_3の酸化物単結晶を使用した.各パルスの時間、正味の原料供給時間,Pb,Zr,Ti各原料の気化条件を固定し,すべての実験においてチャンバーへの原料供給量が等しくなるようにして成膜を行った.また,それぞれについて,PT単独,およびPZ単独の膜も成膜した(それぞれのパターンに'を付けて示す).その結果,MgO基板上のPT薄膜の組成はパターン(D')でPb/Ti=0.42〜0.25とTi richであったが結晶化していた.パターン(B')ではPb/Ti=0.3〜0.2となり,PTは結晶化しなかった.パターン(A')が最も定比に近く,エピタキシャル薄膜を得ることができた.同様にSi基板上のPT薄膜の組成は,結晶化はしなかったものの,パターン(B')でほぼ定比の膜を得ることができた.またMgO基板上のPT薄膜の表面をAFMにより観察すると,原料とArを交互に流したパターン(A')で最も平滑な表面が得られた.すなわち,パルスパターン及び雰囲気の変化により原料の吸着過程が大きく変化することが確かめられた.これらは,前年のFTIRによる気相中の観察とも符合した.
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Research Products
(2 results)