2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境に配慮した非鉛圧電アクチュエータの実用化研究開発
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15360352
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
竹中 正 東京理科大学, 理工学部, 教授 (70096709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 肇 東京理科大学, 理工学部, 助手 (70339117)
野村 武史 TDK(株), 基礎材料研究所, 常務取締役・所長
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Keywords | 無鉛・非鉛圧電セラミックス / 強誘電体 / チタン酸ビスマスナトリウム / チタン酸バリウム / MPB / 圧電アクチュエータ / 圧電性 / 電気機械結合係数 |
Research Abstract |
圧電セラミックスの中で、アクチュエータなどのハイパワー応用分野では、圧電特性の最低条件としては、圧電定数d_<33>>300pC/Nおよび動作温度範囲を示すキュリー点T_c>200℃が要求されているが、現在、PZT系に替わり得るそのような特性を有する無鉛圧電材料はない。そのような条件を満たし、PZTに替わる無鉛圧電セラミックスの候補の一つとして、(Bi_<1/2>Na_<1/2>)TiO_3(以下BNT)が有力と考えられている。なかでも(1-x)(Bi_<1/2>Na_<1/2>)TiO_3-xBaTiO_3(BNBT-100x)固溶体系や(1-y)(Bi_<1/2>Na_<1/2>)TiO_3-y(Bi_<1/2>K_<1/2>)TiO_3(BNKT-100y)固溶体系は、大きな圧電性が期待される相境界(MPB)組成をもつことが知られており、MPBはそれぞれx=0.06-0.07、y=0.16-0.20付近に存在することが報告されている。本年度は、アクチュエータなどのハイパワー応用分野に必要とされる無鉛圧電セラミックス材料を探索する一環として、三成分系固溶体(Bi_<1/2>Na_<1/2>)TiO_3-(Bi_<1/2>K_<1/2>)TiO_3-BaTiO_3[BNBK]のそれぞれのMPB付近の組成に注目し、その圧電特性を詳細に調査した。 X線回折の結果から作製した試料はペロブスカイト単一相を示しているのを確認した。全ての試料で95%を超える相対密度が得られた。BNBKセラミックスのキュリー点T_cは300℃前後の比較的高い値が得られたが、組成によるT_cの大きな変化は見られなかった。BNBKセラミックスの自由誘電率ε_<33>^T/ε_0は最大で1000以上の高い値が得られた。さらに、BNBKセラミックスの電気機械結合係数k_<33>は最大で55%を超える値を得た。一般にMPB組成において結合係数k_<33>および自由誘電率ε_<33>^T/ε_0のピークが得られる組成は数molずれることが知られている。例えば、BNKT-100y系では、k_<33>の極大はy=0.16のBNT(菱面晶)側で、ε_<33>^T/ε_0の極大はy=0.20のBKT(正方晶)側で、また、BNBT-100x系でも同様で、k_<33>極大はx=0.6のBNT(菱面晶)側で、ε_<33>^T/ε_0の極大はx=0.7のBT(正方晶)側で、それぞれピークを示すことが報告されている。つまり、k_<33>の極大値はBNTに近い菱面晶側で得られ、ε_<33>^T/ε_0の極大値は正方晶側で得られている。このようなずれの原因としては、その結晶構造に起因していると考えられる。本研究で得られた結果は、BNBK三成分系では大きな自由誘電率ε_<33>^T/ε_0が得られた組成で、最大値と同程度の結合係数k_<33>が得られている点が大きな特徴であり、大きな圧電定数d_<33>が期待される。すなわち、圧電定数d_<33>は0.852(Bi_<1/2>Na_<1/2>)TiO_3-0.12(Bi_<1/2>K_<1/2>)TiO_3-0.028BaTiO_3組成で190pC/Nが得られ、かつ、キュリー温度T_cが300℃程度と無鉛圧電セラミックスとしては非常に高い値を示す組成が得られた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Nagata, T.Enosawa, Y.Fujita, T.Takenaka: "Bi4Ti3O12-based Lead-Free Piezoelectric Ceramics with Grain Orientation"Proc. the 13th IEEE International Symposium on the Applications of Ferroelectrics (ISAF XIII 2002) (IEEE Catalog No.02CH37341). No.02CH37341. 303-306 (2003)
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[Publications] H.Nagata, M.Itagaki, T.Takenaka: "Piezoelectric Properties of Bismuth Layer-Structured Ferroelectric SrBi2Ta2O9-Bi3TiTaO9 Ceramics"Ferroelectrics 286, pp.85~92 (2003).. 286. 85-92 (2003)
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[Publications] H.Ryouken, Y.Adachi, H.Haneda, T.Takenaka: "Basic Examination for Modulation-Doped (Zn, Mg, Al)O/ZnO"Electroceramics in Japan VI (Proceedings of the 22nd Electronics Division Meeting of the Ceramic Society of Japan). 103-106 (2003)
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[Publications] Y.Nakano, T.Nomura, T.Takenaka: "Residual Stress of Multilayer Ceramics Capacitors with Ni-Electrodes (Ni-MLCCs)"Jpn.J.Appl.Phys.42, Part 1, No.9B, pp.6041~6044 (2003).. 42. 6041-6044 (2003)
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[Publications] M.Suzuki, H.Nagata, J.Ohara, H.Funakubo, T.Takenaka: "Bi3-xMxTiTaO9 (M=La or Nd) Ceramics with High Mechanical Quality Factor Qm"Jpn.J.Appl.Phys.42, Part 1, No.9B. 42(9B). 6090-6093 (2003)
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[Publications] H.Nagata, M.Yoshida, Y.Makiuchi, T.Takenaka: "Large Piezoelectric Constant and High Curie Temperature of Lead-Free Piezoelectric Ceramic Ternary System Based on BNT - BKT - BT near the Morphotropic Phase Boundary"Jpn.J.Appl.Phys.42, Part 1, No.12. 42(12). 7401-7403 (2003)