2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波帯通信用の新しい高Q誘電体の材料開発とナノ構晶構造解析
Project/Area Number |
15360353
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
小川 宏隆 名城大学, 理工学部, 教授 (20097760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大里 齊 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20024333)
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Keywords | マイクロ波誘電体 / 高Q / コランダム / 低損失材料 / 低誘電率 / 結晶構造解析 / セラミックス / グリーンフェイス |
Research Abstract |
本研究では、従来のマイクロ波帯での応用だけでなく、今後の情報通信技術の高度化を踏まえてミリ波帯などの高周波で使用可能な高い品質係数(Q・f)を持つ材料の創製とその材料設計の指針の確立に向けた構造解析を進めてきている。 本年度では、コランダム系材料においては、第一原理計算により、MO_6(M=Mg, Mn and Co)およびAO_6(A=Nb, Ta and Sb)八面体において電子状態計算を行い、マイクロ波誘電特性との相関について検討した。MgをMで置換した場合、Q・f値は大幅に減少し、電子状態計算の結果から、遷移全属の3d軌道と酸素の2p軌道の混成軌道によりMO_6八面体内のM-O間の共有結合が強くなり、一方、NbO_6八面体ではNb-O間の結合強度が低下することが明らかとなった。NbサイトをTaおよびSbで置換した固溶体ではQ・f値は増加し、300000GHzを超える特性が得られている。さらに、Nb-Oの結合強度と比較してTa-OおよびSb-Oの結合強度が高くなっており、これらの結合強度の変化が各サイトの置換によるマイクロ波誘電特性の変化に影響を及ぼしているものと考えられる。次にNbサイトにおいてTaおよびSbの同時置換を行いMg_4(Nb_<2-x-y>Ta_xSb_y)O_9固溶体を合成し、マイクロ波誘電特性の組成依存性について評価し、組成変化に対して結晶構造の安定性がマイクロ波誘電特性に寄与することが明らかとなった。 グリーンフェイス系材料においては、高いQ・f値が得られるY_2BaZnO_5において、焼成時間とマイクロ波誘電特性の関係について検討を行い、Znの席占有率の精密化から、焼成時間の増加に伴い、Znの蒸発が認められ、これに伴いQ・f値が減少することが明らかとなった。また、比較的高い比誘電率(ε_r)を持つエシナイト型構造においても共有結合性の変化と結晶構造の安定性の変化がマイクロ波誘電特性に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)