2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15360369
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 克志 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30236575)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上路 林太郎 香川大学, 工学部, 助手 (80380145)
岸田 恭輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (20354178)
|
Keywords | 超合金 / クリープ変形 / ラフト構造 / 相安定性 / 弾性定数 / 歪エネルギー |
Research Abstract |
クリープ変形を考慮に入れた弾性歪エネルギーの計算をするにあたりこれまでに報告されている実験事実を踏まえ,「クリープ転位が移動するのはγ相内のみでありγ'相内に転位は進入しない」,「[001]引張応力に対して,全ての<101>/{111}すべり系が等価に活動することでクリープ変形が進行する」の2つを仮定した.加えて計算の単純化のために「全てのクリープ変形は転位の移動によって生じた塑性歪である」「ラフト構造は理想的なγ,γ'相の平板の積み重なりである」の2つの仮定を導入した.このような固有歪を持つγ相をγ'相と(クリープ転位を界面に残した状態で)貼り合わせることで格子定数ミスフィットとクリープ歪の両者が存在するときのγ,γ'両相中の平均的な内部応力状態を再現することができる.内部応力状態の計算には完全なラメラ構造を考えた.この構造には周期境界条件を適用し,かつ表面に垂直な応力成分は0に固定した.適当なクリープ変形歪の値に対して,結晶軸方向は固定した状態でラメラ面の面法線方向を変化させ弾性歪エネルギーを計算した. クリープ変形歪が0%の場合,ラメラ法線方向が<100>方向で弾性歪エネルギーが最低になり,外部応力が無い場合はいわゆるcuboidal組織が安定であることが確認された.γ相のクリープ変形歪が0.2,0.4%と大きくなっていくと,ラメラ法線方向が[001]方向の弾性歪エネルギーが急速に低下していくのに対して,[100]方向の弾性歪エネルギーは大きくなる.これは(001)ラフトが弾性的に安定化されていることを示しており,弾塑性論に基くラフト化の機構に関する従来からの報告と一致するものである.しかしながらγ相のクリープ変形歪が0.4%より大きい値(0.6,0.8%)となると,ラメラ法線方向が[001]方向では弾性エネルギーが極大値をとるようになり,[111]方向に大きく傾いた方向で最小値をとるようになる.つまり(001)ラフト構造は弾性的に不安定なものとなることが明らかとなった.
|
Research Products
(3 results)