ナノ結晶を介在させた異種金属の接合と界面反応に関する研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15360390
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Kyushu Institute of Technology
• Principal Investigator: 西尾 一政 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (50039145)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 山口 富子 九州工業大学, 工学部, 助手 (20243983) ; 加藤 光昭 九州工業大学, 工学部, 教授 (90039107)
• Keywords: 真空圧延接合法 / クラッド材 / アルミニウム / チタン / TEM / 金属間化合物 / 固相接合 / Al / Tiクラッド材

Research Abstract

本研究では、申請者らが開発した真空圧延装置によりAlとTiとのクラッド型の複合材料を作製し、AlとTiとの接合部の強さに及ぼす圧下率(2.9〜9.7%に変化)の影響を明らかにすると共に、接合部の光学顕微鏡観察とTEMによる微細観察を行った。そして、本接合法のメカニズムを解明した。さらに、これらの複合材の使用上の観点から、これらに熱加工が付与される場合を想定し接合界面における金属間化合物の成長挙動を明確にした。得られた結果を要約すると次の通りである。
1)接合部の引張強さは圧下率の増加に伴って上昇し、圧下率が6.5%以上になる時は接合界面で引張破断が生じないでAlの母材内で破断し、高い接合部強さを持ったクラッド材が得られた。
2)また、接合部から薄膜のTEM観察から、ナノ結晶帯又は微結晶帯が認められ、これらを介して接合が生じていることが分かった。
3)ナノ結晶帯においてはAlとTiとの拡散は約20nmの極めて微小な範囲内で生じていた。また、微結晶帯においてはAlとTiの組成割合がほぼ75:25であり{FCC構造を有するマトリックス中にL12型の規則格子並びに金属間化合物TiAl3(D022)が生成していた。
4)真空圧延接合法によるAlとTiとの接合は、接合中に両材料間に生じる大きな相対すべりによる摩擦熱により、Alの被接合面が数百nmの範囲内で溶融し、凝固することにより生じるものと考えられる。そして、その後の急速な冷却により、接合部にはナノ結晶帯又は微結晶帯が形成されたものと考えられる。
5)Al/Tiクラッド材にAlの融点直下の等温加熱処理を行うことにより、金属間化合物TiAl_3が形成され、その成長は拡散律速に従うことが分かった。また、その際の成長のための活性化エネルギーは218kJ/molであった。