2003 Fiscal Year Annual Research Report
バルクアモルファス金属の熱物性とアモルファス形成能
Project/Area Number |
15360397
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早稲田 嘉夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (00006058)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 弘道 茨城大学, 工学部, 助教授 (70168946)
柴田 浩幸 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (50250824)
鈴木 茂 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (40143028)
|
Keywords | 金属ガラス / Pd基合金 / レーザフラッシュ法 / 熱拡散率 / 比熱 / 電気抵抗率 / Wiedemann-Franzの法則 |
Research Abstract |
Pd基合金は優れたガラス形成能を示すことが知られている。本年度は、このPd基金属ガラスの優れた熱安定性を検討するため、Pd基合金の熱拡散率、比熱、電気抵抗率等を測定した。 Pd基合金(Pd_<40>Cu_<30>Ni_<10>P_<20>、Pd_<40>Ni_<40>P_<20>、Pd_<40>Cu_<40>P_<20>)融体の熱拡散率をレーザフラッシュ法により測定した。各合金融体の熱拡散率の値は温度の一次関数として表され、正の温度依存性を示すことが明らかとなった。また、ガラス形成能の優れた合金融体の熱拡散率の方が小さい値を示した。さらに、Pd_<40>Cu_<30>Ni_<10>P_<20>合金については、ガラス、結晶化、過冷却融体状態の熱拡散率を測定した。この結果から、ガラス、結晶化、融体状態の熱拡散率は正の温度依存性を示すこと、液相線温度直下における過冷却融体状態の熱拡散率とガラス遷移温度直上の過冷却融体状態の熱拡散率はほぼ等しい値を示すこと、Pd_<40>Cu_<30>Ni_<10>P_<20>合金の結晶化状態の熱拡散率はガラス状態の熱拡散率よりも大きいなどの新しい知見を得た。 熱流束型DSCを用いてPd基合金融体の比熱を求めた。各合金融体の値は温度の一次関数となり、緩やかな負の温度依存性を示すことが明らかとなった。比熱はPd_<40>Cu_<30>Ni_<10>P_<20>合金融体が一番大きく、Pd_<40>Ni_<40>P_<20>、Pd_<40>Cu_<40>P_<20>合金融体の順に小さいことが明らかとなった。 さらにFd_<40>Cu_<30>Ni_<10>P_<20>及びPd_<40>Ni_<40>P_<20>合金融体の熱伝導率と電気抵抗率の値からWiedemann-Franzの法則の適用について検討を行った。Pd合金融体はいずれもこの法則が成立しており、これらの合金融体の熱伝導機構は主に伝導電子によるものであると結論した。
|