2003 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマーブラシ内タンパク質多層集積構造を利用した高効率な環境計測と浄化
Project/Area Number |
15360408
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
斎藤 恭一 千葉大学, 工学部, 助教授 (90158915)
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Keywords | ポリマーブラシ / タンパク質 / 多層集積 / 内分泌撹乱物質 / 濃縮 / 17β-エストラジオール / 吸着材料 / アフィニティ |
Research Abstract |
本研究では,「タンパク質多層集積構造」を活かして,環境保全に役立つ新材料を提案する.本年度は,内分泌撹乱物質を抗原として認識するタンパク質(抗体)を,多孔性中空糸膜に取り付けたポリマーブラシに多層集積し,簡便に,例えば河川敷の測定地点で,内分泌撹乱物質を1000倍に前濃縮できる"イムノクリーンアップ材料"を作製し,その性能を実証した. 化学物質には生体内で内分泌を撹乱する作用をもつものがあり、多くの野生動物種や人体に影響を与えている。女性ホルモンである17β-エストラジオール(E2)は外因性内分泌撹乱物質(環境ホルモン)よりも1,000倍以上生理活性の強い物質である。このことから、内分泌撹乱物質のエストロゲン作用の強さの指標として用いられている。本研究では,グラフト鎖に固定した抗体の利用効率が高い材料の作成を目的にした。そのためにまず、二種類の抗体固定法を比較した。すなわち,グラフト鎖中のエポキシ基と抗体中のアミノ基とのカップリング反応を利用する"非配向"固定、およびグラフト鎖中のマレイミド基と抗体断片中のチオール基とのカップリング反応を利用する"配向"固定の二種類である。つぎに、抗体固定時の抗体溶液のpHを変えて,抗原にあたるE2の吸着量との関係を調べた.多孔性膜の孔表面に取り付けたグラフト鎖に抗体を固定した材料を作成し,E2を吸着捕集した.抗体の利用効率を高めるために,"配向"固定を試みたけれども,E2の非選択的吸着を抑制できなかった.そこで,"非配向"固定時の抗体溶液のpHを最適化することによってE2の吸着量を増大させた.さらに,E2溶液の流量を高めても膜へのE2吸着量が変化しなかったことから,内分泌撹乱物質を高速で前濃縮するための材料として有望であることを示すことができた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 西山 真哉: "High-speed recovery of antimony using chelating porous hollow-fiber membrane"Journal of Membrane Science. 214. 275-281 (2003)
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[Publications] 川喜田 英孝: "Skin layer formation on porous membrane by immobilized dextransucrase"AIChE Journal. (in press). (2004)