2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマーブラシ内タンパク質多層集積構造を利用した高効率な環境計測と浄化
Project/Area Number |
15360408
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
斎藤 恭一 千葉大学, 工学部, 教授 (90158915)
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Keywords | ポリマーブラシ / タンパク質 / 多層集積 / ナノフィルター / ろ過膜 / デキストラン合成酵素 / デキストラン / ショ糖 |
Research Abstract |
本研究では,「タンパク質多層集積構造」を活かして,環境保全に役立つ2つの新材料を提案する.まず,内分泌撹乱物質を抗原として認識するタンパク質(免疫抗体)を,多孔性中空糸膜に取り付けたポリマーブラシに多層集積し,簡便に,例えば河川敷の測定地点で,内分泌撹乱物質を1000倍に前濃縮(クリーンアップ)できる"イムノクリーンアップ材料"を作製し,その性能を実証する.つぎに,タンパク質としてデキストラン合成酵素を,多孔性中空糸膜に取り付けたポリマーブラシに多層集積し,基質であるショ糖を透過させると,生成物であるデキストランがポリマーブラシに絡まり親水性のデキストラン層を形成する.この原理を活かして多孔性膜の孔径を制御し,農薬や界面活性剤を濾過除去できる"親水性ナノフィルター"を作製し,その性能を評価する.本年度は,親水性ナノフィルターの作製条件を探索した. デキストラン合成酵素は,ショ糖(分子量360)を縮重合させて高分子であるデキストラン(分子量数万から数十万)を合成する酵素である.多孔性中空糸膜の孔表面に取り付けたポリマーブラシにこの酵素を集積させ,基質としてショ糖溶液を膜の内面から外面に透過させると酵素反応が起こる.生成したデキストランがポリマーブラシ内に絡みつき孔を埋め始める.さらにショ糖の供給を続けると多孔性中空糸膜の内面にデキストランが堆積する. ポリマーブラシの量,ポリマーブラシへのデキストラン合成酵素の多層集積度,ショ糖の供給量,および酵素反応の反応条件を変えることによって,堆積するデキストラン層の厚みや面積が変わった.電子顕微鏡写真による観察および透過流束の変化から孔径を推算した.元の多孔性膜の1/8程度までに孔径を制御できることを示した.
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Research Products
(3 results)