2005 Fiscal Year Annual Research Report
キラル場形成素子をもつ高分子膜による光学異性体の連続分離法の確立
Project/Area Number |
15360412
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 正和 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (60158417)
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Keywords | 分子インプリント / 簡易分子インプリント / 光学分割 / 不斉認識 / 分子認識 / 好熱菌 / ポリスルホン / 鋳型膜 |
Research Abstract |
平成17年度は以下の3つのプロジェクトを遂行した。 1)最適な不斉認識部位を提供する構成アミノ酸残基の探索 2)新規なキラル高分子からの光学分割膜の創製 3)修飾ポリスルホン膜による光学分割膜の創製 まずプロジェクト1)に関しては疎水性側鎖アミノ酸残基であるフェニルアラニンより構成されるテトラペプチド誘導体が簡易分子インプリント法を適用しても、極性側鎖アミノ酸残基の場合とは異なり、不斉(分子)認識部位を形成しないことを明らかにした。 プロジェクト2)においては、キラルな高分子として天然タンパクが挙げられる。その中でも、好熱菌であるGeobacillus thermodenitrificans DSM465に着目し、これより産生されるタンパクを分子認識部位形成候補物質として利用することを検討した。本プロジェクトにおいて採用した好熱菌は65℃という比較的温和な温度条件下でもって培養でき、他菌の汚染を受け難いという特徴をもつものである。この好熱菌より産生される水溶性タンパクに9-エチルアデニンを鋳型分子として採用することにより、アデノシン認識能を示す鋳型膜の創製を行った。その結果、9-エチルアデニン鋳型膜はアデノシン/グアノシン混合物よりアデノシンを選択的に認識することを明らかにした、また、それが、9-エチルアデニンを鋳型として膜中に形成された分子認識部位により発現していることを吸着等温線の解析より明らかにした。 プロジェクト3)では、安定な膜を提供するポリスルホンに光学活性な炭素をもつミルテナール残基を高分子反応により側鎖に化学結合させることにより、膜素材への不斉環境の導入を図った。鋳型分子として光学活性なグルタミン酸誘導体を採用して調製することにより修飾ポリスルホンを不斉認識膜へと変換可能なことを明らかにした。その結果、D-体により調製された鋳型膜ではD-体をL-体よりも選択的に膜透過させ、またその逆も可能であることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)