2003 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素を利用したナノプレーティングに関する研究
Project/Area Number |
15360418
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
市原 祥次 東京農工大学, 工学部, 教授 (60323747)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 拓 東京農工大学, 工学部, 助教授 (90196006)
渡辺 敏行 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10210923)
宮田 清蔵 東京農工大学, 本部, 学長 (90015066)
曽根 正人 東京農工大学, 工学部, 助手 (30323752)
臼井 博明 東京農工大学, 工学部, 助教授 (60176667)
|
Keywords | めっき / 超臨界二酸化炭素 / エマルジョン / ピンホール / 結晶粒径 / ビッカース硬度 / 超臨界ナノプレーティング / SNP |
Research Abstract |
電気めっきは工業的に広く利用されているが、ピンホールの発生や廃液による環境汚染などが問題となる。そこで界面活性剤を添加した超臨界二酸化炭素中にめっき液を入れ、撹拌しつつ電気めっきを行う手法を開発し、超臨界ナノプレーテイング(SNP)と命名した。SNP法を用いると厚みが均一で表面の平滑性に優れ、ピンホールの無い膜が得られる。さらに、成膜に必要なめっき液の量も低減できる。そこで真鍮表面へのニッケル皮膜形成の実験から、SNP皮膜の微視的特性の解明を行った。 まずSNP法ではピンホールが発生しないが、これは超臨界二酸化炭素/めっき液エマルジョンの流れの中で成膜が進行するため、基板上に発生した水素が超臨界二酸化炭素に相溶して除去されるためであると考えられる。比較のために高圧力下で従来の電気めっきを行ったが、ピンホールの減少は観察されなかった。次に、SNP法で形成されるエマルジョンの流れは動的なものであり、基板表面での電流の動的な変動を起こすため、パルスめっき的効果も得られると考えられる。そこでSNP皮膜の電子顕微鏡観察を行った結果、結晶粒径が10nm程度であり、従来の電気めっき皮膜に比較して粒径が微細化していることが見出された。この結果はX線回折測定からも支持された。これはエマルジョン流によるパルスめっき的効果により、結晶粒の連続的な成長が阻止され、新たな結晶核の形成によって皮膜が成長するためだと考えられる。そこで皮膜のビッカース硬度を測定した結果、従来の電気めっき皮膜は550Hv程度であるのに対し、SNP皮膜は680Hv程度の大きな硬度を持つことが見出された。粒径と硬度の関係はホール・ペッチの関係式で記述されたことから、SNPによる硬度の増大は結晶粒が微細化を反映するものと考えられる。以上のようにSNP法は新規めっき技術として数々の優れた特徴を持つことが示された。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Hideo Yoshida et al.: "Application of emulsion of dense carbon dioxide in electroplating solution with nonionic surfactants for nickel electroplating"Surf.Coat.Tech.. 173. 285-292 (2003)
-
[Publications] Hao Yan et al.: "The effects of dense carbon dioxide on nickel plating using emulsion of carbon dioxide in electroplating solution"Surf.Coat.Tech.. 182. 335-340 (2003)
-
[Publications] Hideo Yoshida et al.: "New electroplating method of nickel in emulsion of supercritical carbon dioxide and electroplating solution to enhance uniformity and hardness of plated film"Thin Solid Films. 446. 194-199 (2004)
-
[Publications] 曽根正人: "超臨界ナノプレイティングシステムと高分子の役割"高分子. 52・9. 709-710 (2003)
-
[Publications] 佐藤信義 他: "超臨界二酸化炭素と共存するニッケルめっき浴環境における金属材料の電気化学特性と適正材料選定の研究"材料と環境. 53・3. 123-129 (2004)