2003 Fiscal Year Annual Research Report
気相からの炭素-炭化ケイ素系固体析出反応における成膜前駆体と成膜機構
Project/Area Number |
15360421
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河瀬 元明 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60231271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 浩行 京都大学, 工学研究科, 助手 (40263115)
三浦 孝一 京都大学, 工学研究科, 教授 (40111942)
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Keywords | 化学気相成長法 / 熱分解炭素 / 傾斜機能材 / プロパン / ジメチルジクロロシラン / 素反応シミュレーション / 反応モデル / 表面反応速度 |
Research Abstract |
細管型CVD反応器を用いて,1010℃,50Torrで熱分解炭素成膜実験を行った。気相における複合反応によって生じる種々の炭化水素ガスの影響を調べるために,メタン,エタン,エチレン,アセチレン,プロパン,プロピレン,n-ブタン,ベンゼン,コールタールを原料として,成膜実験を行い,熱分解炭素膜を得るとともに,マイクロガスクロを用いて気相反応生成物の分析を行った。得られた膜は,X線回折装置,ラマン分光分析装置ならびにTEMカメラを用いて組織構造を測定した。X線回折,ラマン分光の結果ではいずれのサンプルも非晶質構造を示したが,TEM観察では,ベンゼンから作製した膜中に一部,グラファイト構造が認められた。脂肪族炭化水素から得られた膜中には結晶構造は認められなかった。気相からの炭素成膜において,グラファイト構造が形成されるためには,芳香環をもつ前駆体が気相中で生成する必要がある。 また,素反応データベースを用いて,気相ラジカル連鎖反応の数値シミュレーションを行い,数百におよぶ素反応からなる反応機構から,設計目的に耐える反応工学的モデルを構築する手法を開発した。これは素反応シミュレーション結果の評価法と実験結果との比較からなる方法で,まずシミュレーション結果から反応速度の大きい素反応のみを選ぶことにより,考慮すべき素反応の数を大幅に減らすことができる。従来の試行法や感度解析法に比べて迅速な反応機構解析が可能となり,多数の反応系について反応モデルを構築することができる。この方法により,各種炭化水素の気相熱分解反応モデルを作成した。
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