2004 Fiscal Year Annual Research Report
気相からの炭素-炭化ケイ素系固体析出反応における成膜前駆体と成膜機構
Project/Area Number |
15360421
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河瀬 元明 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60231271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 孝一 京都大学, 工学研究科, 教授 (40111942)
中川 浩行 京都大学, 工学研究科, 講師 (40263115)
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Keywords | 化学気相成長法 / 熱分解炭素 / 傾斜機能材 / プロパン / ジメチルジクロロシラン / 素反応シミュレーション / 反応モデル / 表面反応速度 |
Research Abstract |
細管型減圧CVD装置を用いて,プロパン,プロピレン,エチレン,アセチレン,アレン,アリレンを供給原料として炭素成膜実験を行った。成膜速度の測定に加えて,XPSならびにラマン分光,TEMによる製品膜のキャラクタリゼーションを行うとともに,反応器出口ガスの分析を行った。XPS測定の結果によれば,プロパンを供給原料として得られた膜中のC-C結合は約70%がsp^3混成軌道を形成しており,sp^2構造は少なかった。ラマン分光の結果では比較的分離したGバンドとDバンドのピークが認められ,均質なアモルファス構造であった。TEMによる観察でもアモルファス構造しか認められなかった。一方,プロピレンを供給原料として作製した膜では,sp^2構造が多く,sp^3構造は30%程度に低下し,アレンを供給原料とした場合には,sp^3分率は,15%程度にまで低下した。アレンから作製した膜では,TEM観察でも層構造の発達が明瞭に認められた。ガス分析の結果によれば,プロパンを原料とした場合でも反応器中で5%程度のアレン,アリレンが生成することがわかっており,プロパンから得られた膜中に認められたsp^2構造の起源は気相生成物のアレン,アリレンであると思われる。グラファイトのような層構造の形成には芳香族の成膜前駆体が有利と考えられるが,気相種の測定の結果では,C_5以上の成分の生成は認められていなかった。一方,プロパンの熱分解反応の素反応シミュレーションを行ったところ,1%程度ではあるが気相中でベンゼンが生成することがわかった。ベンゼン等の芳香族からの生膜は迅速であるため,実験では測定限界以下の分圧となっていたものと考えられる。また,素反応シミュレーションと気相生成物測定の結果から,炭化水素の熱分解に関する651の素反応か26個の重要な素反応を抽出したプロパン熱分解の簡略モデルを構築した。本モデルは実験値を良好に予測した。
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