2004 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理分子動力学法による超臨界水中の新規な有機反応経路の解明と制御
Project/Area Number |
15360422
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新田 友茂 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (00029480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 英明 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (10291436)
古川 信一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (50333448)
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Keywords | 密度汎関数理論 / 実空間グリッド / QM / MM法 / 自由エネルギー / エネルギー表示の理論 / QM / MM-ER |
Research Abstract |
本研究の実績は、次の2点にまとめることが出来る。一つは、溶液内の化学過程に伴う自由エネルギー変化を計算する為の新規な計算方法を開発したことであり、もう一つは、高温高圧水中で1,4ブタンジオールからテトラヒドロフランが生成する反応について、水素結合鎖に沿ったプロトン移動機構により反応が触媒されることを量子化学計算により、明らかにしたことである。以下にそれぞれについて詳述する。 (1)量子化学による凝集系の自由エネルギー計算 凝集系の化学過程に伴う自由エネルギー変化を計算するために、我々は、ハイブリッド型の第一原理分子動力学法と新規な溶液の理論であるエネルギー表示の理論をカップルさせた新しい方法論を開発した。エネルギー表示の理論では、溶質周りの溶媒の空間的な分布関数の代わりに、溶質-溶媒間相互作用エネルギーの分布関数を基本的な変数として、溶質の溶媒和自由エネルギーを構成する。この方法は、RISM理論において表れる相互作用点という概念を必要としないので、量子化学的な方法との融合が容易である。 (2)高温高圧水中のアルコールの脱水反応の量子化学計算 1,4ブタンジオールからプロトン移動機構により水分子が脱離する場合、その遷移状態は、ビラジカルな性質を持つ。しかし、水の様な極性の大きな溶媒中で反応が進行すると、その電子状態は、zwitterionを形成し、溶媒としての水と相互作用することにより大きく安定化する。前述(1)の方法により、このような反応の溶液中の活性化自由エネルギーを計算すると、およそ50kcal/molとなり、実験値と良く一致することが分かった。このことから、熱水中で、プロトン移動機構が反応を触媒する経路の妥当性が示唆された。
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Research Products
(3 results)