2005 Fiscal Year Annual Research Report
組織化ナノ細孔を光触媒反応場とする高選択的有機合成
Project/Area Number |
15360430
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 隆之 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (80208800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 康浩 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 助教授 (70343259)
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Keywords | 光触媒 / ナノ細孔 / 高選択的有機合成 / オレフィン / エポキシド / ケトン / シリカ / ゼオライト |
Research Abstract |
本研究の目的は、多孔体結晶の組織化されたナノ細孔を「光触媒反応場」として利用することにより、高選択的な有機合成反応を実現することにある。平成17年度は、オレフィンからのi)高選択的エポキシド合成、およびii)高選択的ケトン合成について検討した。 i)オレフィンからのエポキシド合成に関しては、チタン酸化物をメソポーラスシリカ上に高分散させたチタノシリケートを光触媒として用いた。本触媒では、アセトニトリルの存在下、紫外光を照射することによりほぼ100%の選択率で対応するエポキシドが得られる。励起したチタン酸化物上では、酸素分子よりO_3^-ラジカルが生成し、オレフィンへの直接付加によりエポキシドが生成するが、同時にオレフィンからのプロトン引き抜きが進行し、アルコールやケトンなどが生成する。ESR測定により、本触媒上では、アセトニトリルの活性点への弱い配位によりオレフィンからの水素引き抜きが抑制され、高いエポキシド選択性が実現されていることを明らかにした。本光触媒は、これまでに報告された光触媒系の中で最も高いエポキシド選択性を示す。 ii)オレフィンからのケトン合成は、有機増感分子である2,4,6-トリフェニルピリリウムイオン(TP)をゼオライトのスーパーケージ内にシップインボトル法により閉じこめた光触媒(TPY)を用いた。励起されたTPは、オレフィンからの電子引き抜きによりオレフィンラジカルを生成するが、二量化が進行するためケトン選択率は非常に低い。ところが本触媒では、オレフィンラジカルはサイズの規制されたケージ内で生成するため、サイズの大きな二量体は生成せず、対応するケトン類がほぼ100%の選択率で生成する。本光触媒系は、これまでに報告された光触媒系の中で最も高いケトン選択性を示す。また本触媒は、可視光(λ>400nm)下での操作が可能であり、省エネルギー型のケトン合成プロセスを設計することが可能である。
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Research Products
(9 results)