2004 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療用における腎臓組織の新規構築培養法および機能評価
Project/Area Number |
15360434
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
王 碧昭 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (80261775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 明 東海大学, 総合医学研究所, 教授 (60307296)
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Keywords | 後腎 / 血管新生 / 尿管芽 / 間質系細胞 / 平面旋回培養 / disposable膜培養装置 / 擬微小重力 / 分化 |
Research Abstract |
高齢化社会において、ガン疾患や腎炎、ネフローゼの患者数が著しく増加しており、医療費が上回っている。一方、新たな生体組織工学やES細胞の操作技術が確立されており、皮膚、神経、心筋、軟骨細胞を分化再生することが実現されつつある。しかし、この両者の技術は複雑な血管網に包まれる腎臓器官を再生するのは、現段階では無理である。これらの問題点を踏まえ、もっとも実現可能な対策を考え、発生期の後腎尿管芽ならびに周りの間質細胞を出発材料とし、流動性環境と擬微小重力状態を加え、腎組織の基本単位であるネフロンの構成を目指す。 今年度は以下の点を明らかにした。 (1)前年度はマウス胚形成11.5〜20.5日の後腎の摘出に成功したので、樹立された技術により、胎生期初期の後腎を24wellの培養皿および上皮、内皮培地で培養した。上皮培地は尿管芽のbranchingを促進したが、血管形成を逆に抑制したので、内皮培地を添加した。その結果、後腎組織は赤血球細胞を保ちながら、尿管芽のbranchinも形成された。また、持続培養して3〜5日の間、S字体管腔の形成ができた。さらに血管新生因子のVEGF、HGF, b-FBFを投与した結果、VEGFの血管新生効果が他の因子より強いことが分かった。 (2)上記(1)で確立された方法を用い、形成された後腎をdisposable膜培養器及び平面旋回培養器に移し、時間軸に沿って培養した。その結果、平面旋回培養法に比べ、disposable膜培養器では、多くの後腎組織が凝集した。また、凍結切片でHE染色した結果、腎糸球体と尿集合管の形成が観察された。さらに継続培養すると、永久腎に類似する尿細管が観察された。2重抗体染色法で染色した結果、糸球体の3種類構成細胞のマーカが陽性であり、糸球体の分化を実証した。 以上の成果により、我々が開発したin vitroでの後腎培養系では後腎の分化に促進し、後腎の組織化に有効であることを示す。
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Research Products
(4 results)