2004 Fiscal Year Annual Research Report
加速照射試験効果の機構論モデルに基づく評価手法開発と実機材料適用に関する研究
Project/Area Number |
15360500
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関村 直人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10183055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 弘亨 東京大学, 原子力研究総合センター, 助教授 (40343925)
岩井 岳夫 東京大学, 原子力研究総合センター, 助手 (30272529)
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Keywords | 損傷速度 / 加速照射効果 / オーステナイト鋼 / 中性子照射 / イオン照射 / 転位ループ |
Research Abstract |
平成15年度に実施した中性子照射されたオーステナイト鋼モデル合金に関するミクロ組織観察結果に基づき、転位組織発達過程のモデル化が加速照射試験効果の解明に重要であることが明らかにされた。平成16年度は、同一ロットのオーステナイト鋼モデル合金に対して、300〜600℃の温度範囲で、1.0x10^<-4>〜1.0x10^<-3>dpa/sの損傷速度でのイオン照射試験を行うとともに、304鋼に対して同等の試験を行い、加速照射試験効果のモデル化と実機材料への適用性について検討した。 モデル合金に生成する積層欠陥転位ループ数密度は、損傷量とともに増加するが、比較的低い損傷量でループの大きな成長が観察される。更なる損傷量の増加とともに、他のループやネットワーク転位との相互作用によりアンフォールトして完全転位ループ、あるいはネットワーク転位になる過程が観察された。積層欠陥転位ループ数密度は500℃では1.0dpaまでの損傷量で約10^<22>m^<-3>まで増加するが、それ以上の損傷量においては減少した。積層欠陥転位ループのアンフォールト、数密度低下に伴い、ネットワーク転位は500℃では1dpaより高い損傷量で観察され、損傷量とともに、その密度は増加する。大きく成長した積層欠陥転位ループほどアンフォールトが起り易いため、積層欠陥転位ループの平均径は、損傷量に対して複雑になった。 304鋼では、モデル合金と比較して積層欠陥転位ループの形成率が低く、また積層欠陥転位ループが安定で、完全転位ループやネットワーク転位になりにくいため、比較的高損傷量までループ数密度は増加するが、スエリング潜伏線量を境に、アンフォールトする確率が高くなり、非常に高いネットワーク転位密度増加率となった。これらから、積層欠陥転位ループがアンフォールトする確率が高くなるしきい線量を境に高いスエリング率を示すことが、損傷速度効果を含むモデルによって、実機用材料でも再現しうることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)