Research Abstract |
InSb結晶の成長を昨年に引き続き行った.先端が約45度で,内径が約7mmの石英管にInおよびSbを詰めて封入し,垂直ブリッジマン法によって電気炉で結晶化させた.昨年は,結晶育成を移動速度1.4mm/時間で行った結果,単結晶は得られなかった.そこで,結晶速度を0.47mm/時間と遅くして結晶育成を行ったところ,結晶をスライスしエッチングした後に顕微鏡で観察しても,結晶の目立った乱れは観察されなかった.この条件で,来年度は,純度6NのIn とSbとを用いて,高品質結晶育成を行う. 一方,検出器製作においては,昨年度の直径2mmより小さい,直径約1mmの電極を持つundoped型ショットキーInSb検出器を作成した.約10x10mmのInSbウエハをエッチングした後,リソグラフによって直径1mmの電極を4個定義し,ショットキー電極として金を蒸着した.また,エッチング方法を硝酸と乳酸の混合液の他,臭化メタノール,また希フッサンで行った.この検出器の電流-電圧特性を測定し,有望な検出器について,Am-241のα粒子およびBa-133のガンマ線を照射した.α粒子を入射したところ,パルスの非常に早い立ち上がりおよび崩壊が観測できた.また,温度77Kから30K程度の温度範囲ではほぼ同様の振る舞いをすることが分かった.これより,液体窒素冷却において高速動作が期待できるので,医療応用などに実用の可能性が出てきた.ガンマ線照射を行った結果は,昨年度と同様に雑音より大きなパルスが観測され,また多少のエネルギー分布も観測された.今後,解析を進めるが,光子検出器としての見通しが出てきた.
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