2003 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ学習記憶中枢の形成と可塑性の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
15370002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古久保 克男 (徳永 克男) 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (00272154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸尾 文昭 筑波大学, 生物科学系, 助手 (30199921)
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Keywords | 脳 / 発生 / 遺伝子 / ショウジョウバエ / 学習 / 記憶 |
Research Abstract |
キノコ体は、脳容積の6割を超える発達した神経構造であり、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)における学習記憶をはじめ多様な高次脳機能の中枢である。われわれは、これまでにPax6相同遺伝子eyelessがキノコ体神経細胞の分化に重要な機能をもつことを報告してきた。また、キノコ体形成を支配する新たな制御遺伝子を検索するために、約3000個の遺伝子をスクリーニングし、キノコ体前駆細胞で発現する68個の遺伝子を同定してきた。今年度は、キノコ体神経芽細胞が持つ特異的分裂様式を利用して、1齢幼虫初期にDNA複製阻害剤(hydroxyurea)処理を行うことによりキノコ体神経芽細胞を特異的に殺傷する条件を確立した。さらにhydroxyurea処理によりキノコ体を殺傷した成虫の脳からRNAを単離し野生型の脳との発現プロフィールの違いをマイクロアレーにより解析を行った。また、キノコ体制御遺伝子の探索と平行して、ショウジョウバエ幼虫を用いた新しい学習記憶パラダイムを開発した。これまで、幼虫は条件付け学習が困難と言われてきたが、われわれは、独自の方策によりショ糖と匂いの連合学習を成立させることに成功した。今後、この新しい学習記憶パラダイムにより、遺伝子変異体の極めて簡便な行動解析が可能になったのみならず、個々の神経回路と新しい学習記憶遺伝子を同定する方策が開けるものと期待される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Adachi, Y.Heuck, B, Clements, J., Kawauchi.H, Kurusu, M, Totani, Y., Kang Y.Y., Eggert, T., Walldorf, U, Furukubo-Tokunaga, K, Callaerts, P.: "Conserved cis-regulatory modules mediate complex neural expression patterns of the eyeless gene in the Drosophila brain"Mech.Dev.. 120. 1113-1126 (2003)