2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物の環境応答におけるcAMP信号伝達系分子機構の全解明
Project/Area Number |
15370019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 正之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80013580)
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Keywords | ラン藻 / 乾燥ストレス / 遠赤色光 / Anabaena / マイクロアレイ / トレハロース / cAMP / 塩ストレス |
Research Abstract |
ラン藻Anabaena sp.PCC7120を実験生物として、塩ストレス、乾燥ストレスおよび遠赤色光の受容体および信号伝達系の解析を、マイクロアレイ解析を中心に行った。 塩ストレス実験においては、窒素固定を行う糸状性ラン藻Anabaenaを材料として、NaClを細胞外シグナルとした細胞内cAMPレベルの変化について検討した。その結果、NaClの添加によって細胞内cAMPレベルは上昇することが判明した。このcAMPの上昇は、二成分制御系のドメインを複数もつアデニル酸シクラーゼであるCyaCを介して行われることが明らかとなった。また、DNA microarray解析により、NaCl誘導性cAMPシグナリングによって発現が誘導される遺伝子を推定した。これらの遺伝子には、NaClによって特異的に誘導されるプロモーターが存在した。乾燥ストレス実験においては、乾燥によりトレハロース代謝系の遺伝子の発現が促進されることが確認された。その後蔗糖代謝の遺伝子の発現が上昇した。乾燥ストレスは浸透圧ストレスと塩ストレスなどの複合ストレスと考えられる。遠赤色光の信号伝達に関しては、遠赤色光照射による細胞内cAMPレベルの変化に着目して研究を進めた。まず遠赤色光信号伝達に関係する遺伝子破壊株を作製し、遠赤色光応答性を失った突然変異株の解析から、遠赤色光受容タンパク質の候補として、aphC遺伝子を選定した。AphCタンパク質は、各種の信号受容タンパク質に含まれるGAF領域を持ち、かつヒスチジンキナーゼ活性を示した。さらに、Anabaebaの転写因子ancrp1,ancrp2遺伝子破壊株の解析から、この転写因子はcAMP結合能を持っており、それぞれに異なった生化学的性質を持っていることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Katoh, H: "Isolation and characterization of a drought-tolerant cyanobacterium, Nostoc sp.HK-01"Microbes Environ. 18. 82-88 (2003)
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[Publications] Ehira, S: "Genome-wide expression analysis of the responses to nitrogen deprivation in the heterocyst-forming cyanobacterium Anabaena sp.strain PCC7120"DNA Research. 10. 97-113 (2003)
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[Publications] Ehira, S: "Conserved temperature-dependent expression of RNA-binding proteins in cyanobacteria with different temperature optima"FEMS Microbiology Letters. 225. 137-142 (2003)
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[Publications] Katoh, H: "Gene expression in the cyanobacterium Anabaena sp.PCC7120 under desiccation"Microbial Ecol.. (in press).
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[Publications] Terauchi, K: "Blue light stimulates cyanobacterial motility via cAMP signal transduction system"Molecular Microbiology. (in press).
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[Publications] Tada, T: "Phe356 in the yeast Ca2+ channel component Mid1 is a key residue for viability after exposure to α-factor"FEBS Letters. (in press).