2004 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアにおける酸素発生系の獲得と安定化の機構解明
Project/Area Number |
15370021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三室 守 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 教授 (40142004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 徹 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 助手 (20362569)
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Keywords | シアノバクテリア / 酸素発生系 / 全ゲノム情報 / 光合成 / Gloeobacter violaceus |
Research Abstract |
原始的シアノバクテリアと考えられるGloeobacter violaceus PCC 7421株を主な研究対象として、酸素発生系について解析を進めた。 形質転換系の作製は解析の基本である。その前段階としてかずさDNA研究所との共同研究によってグロエオパクターの全ゲノム情報を明らかにした。(DNA Res.10,137,2003))。その結果、この株は有意な数の光合成関連の遺伝子を欠くなど極めて始原性が高いことが明らかとなり、酸素発生系の獲得過程の解析に最適の材料であることが実証された。さらに形質転換系の確立のため、広宿主域プラスミド由来のベクターを作りエレクトロポレーション法による転換を試みたが、おそらく細胞壁外部の多糖層による物理的障壁のために、現在までのところ成功してはいない。現在、接合法による遺伝子導入も試みている。 次に、酸素発生系について、幾つかの測定を行い、性質を調べた。(1)筑波大学、野口助教授との共同研究として「熱発光」を調べた。発光の温度依存性が他のシアノバクテリアと比較して、数度、高温域にシフトしていた。また、他のシアノバクテリアではあまり観測されない高温域のバンドの強度が顕著であり、水分解系の完成度が低いことが明らかとなった。この事実は遺伝子情報から得られているサブユニット数が少ないこと、水分解に関わるサブユニットのアミノ酸配列が大きく異なることと対応していると考えられる。(2)酸素発生の閃光間隔依存性を測定し、酸素発生系の反応回転速度を検討した。標準的なシアノバクテリアと考えられるSynechocystis sp. PCC 6803と比較すると、明らかに回転速度が遅く、比較的短い閃光間隔で十分の酸素発生量が確保されないことが判明した。現在、実際の律速段階を明らかにすることを試みている。(3)ゲノム情報を基に、酸素発生系に最も影響の大きいと考えられる表在性タンパク質についてそのアミノ酸配列と機能との関連を調べた。Psb0でアミノ酸の置換が顕著で、その影響が大きいと判断された。
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Research Products
(11 results)