2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15370044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 聡 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (30283641)
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Keywords | 蛋白質の折り畳み / X線小角散乱 / 高速過程 / アポミオグロビン / シトクロムc / モネリン / CD分光法 / 側鎖 |
Research Abstract |
1)X線小角散乱法を使ったモネリンの折り畳み過程の観測 この計画では、βシートを含む蛋白質であるモネリンを対象にして、折り畳み初期過程における慣性半径の変化を測定する予定である。このため、X線小角散乱測定の予備実験を行った。小角散乱測定のための条件検索を行った。 2)時分割赤外吸収分光法を使ったアポミオグロビン甲折り畳み過程の研究 アポミオグロビンの折り畳み過程について、赤外吸収分光測定を行った。アポミオグロビンの折り畳みの初期過程は、大規模な主鎖の収縮とヘリックス形成である。この過程での主鎖の運動を詳しく観測するために、赤外吸収分光法は最適な手法である。しかし、赤外吸収測定のために、濃度の濃い蛋白質試料を用意する必要があるが、多くの蛋白質は高濃度で凝集体を作るため、この実験は難しかった。この研究では、溶媒にエタノールを加える事で蛋白質の凝集を抑止できる事を利用し、エタノール存在下でのアポミオグロビンの折り畳み過程を観測することにした。はじめに、エタノール添加がアポミオグロビンの構造に影響を与えない事を確認した。次に、エタノール添加が、折り畳み過程にも大きな影響を与えない事を確認した。以上の確認を行った上で、アポミオグロビンの折り畳み過程の赤外吸収測定を行い、時間領域で300μsから3msまでの観測にはじめて成功した。現在データの解釈をすすめている。 3)時分割CD分光法を使ったシトクロムcの折り畳み過程の研究 280nm付近の近紫外円二色性(CD)分光法を使う事で、側鎖の配向について情報を得る事ができる。本研究では、シトクロムcの折り畳み過程について、近紫外CD測定をはじめて行った。得られた結果は、シトクワムcの最初の折り畳み中間体では、側鎖の配向はあまり固定されていない事を示した。この結果について、現在論文をまとめている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Uzawa, T., Takahashi, S., et al.: "Collapse and search dynamics of apomyoglobin folding revealed by submillisecond observations of α-helical content and compactness"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 101・5. 1171-1176 (2004)
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[Publications] Matsuura, K., Takahashi, S.et al.: "Dioxygen Reduction by bo-Type Quinol Oxidase from Escherichia coli Studied by Submilli second-Resolved Freeze-Quench EPR Spectroscopy"Biochemistry. 43・8. 2288-2296 (2004)
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[Publications] Tanaka, M., Takahashi, S.et al.: "Activation of Hydrogen Peroxide in Horseradish Peroxidase Occurs within 〜300 μs Observed by a New Freeze-Quench Device"Biophysical Journal. 84・3. 1998-2004 (2003)
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[Publications] Egawa T., Takahashi, S.et al.: "Kinetic and spectroscopic characterization of a hydroperoxy compound in the reaction of native myoglobin with hydrogen peroxide"J.Biol.Chem.. 278・43. 41597-41606 (2003)
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[Publications] 高橋聡: "X線小角散乱を使った蛋白質の折りたたみ運動のリアルタイム観察"蛋白質核酸酵素. 49・2. 135-140 (2004)
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[Publications] 高橋 聡: "サブミリ秒分割X線小角散乱法の開発と蛋白質の折り畳み過程の研究"放射光(日本放射光学会誌). 17・3(予定). (2004)
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[Publications] 高橋 聡: "顕微赤外分光法と高速混合装置を使った蛋白質の折り畳み過程の研究 「顕微赤外分光法」第4章2節(211-224ページ)"アイピーシー社 (編集 西岡利勝, 寺前紀夫). 14 (2003)