2003 Fiscal Year Annual Research Report
転写の亢進と抑制の双方に機能する核蛋白質IκB-ζによる自然免疫活性化の制御機構
Project/Area Number |
15370059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
牟田 達史 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60222337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 創 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70315084)
竹重 公一朗 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10037450)
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Keywords | 自然免疫 / IκB-ζ / Nuclear factor-κB (NF-κB) / 転写 / interleukin-6 (IL-6) / 核移行シグナル(NLS) / アンキリンリピート / Green Fluoresence Protein(GFP) |
Research Abstract |
まず、核タンパク質であるIκB-ζの核移行シグナル(NLS)を同定するため、各種のIκB-ζ断片をGreen Fluorescence Protein (GFP)との融合タンパク質としてHeLa細胞で発現し、それぞれの局在を蛍光顕微鏡下で観察した。その結果、NLSはアミノ酸153-187の領域に存在することが示された。 さらに、各種IκB-ζ断片を、GAL4のDNA結合ドメインとの融合タンパク質としてHEK293細胞に発現させ、その転写活性化能をGAL4 reporterを用いて測定することにより、転写活性化活性について検討した。その結果、ヒトIκB-ζ分子内部断片に強い転写活性化活性が検出された。この領域の示す活性は、全長のIκB-ζ及び、C末端側のアンキリンリピートを含む断片を用いた場合には見出されなかった。マウスIκB-ζを用いた場合にも同様の結果が得られ、分子内の相互作用により、この活性が抑制されていることが示唆された。このIκB-ζの活性発現機構について検討したところ、転写活性をもたないNuclear factor (NF)-κBサブユニットp50のGAL4融合タンパク質を全長のIκB-ζと共発現した際に、転写活性が検出されるようになることを見出した。また、NIH3T3細胞にレトロウイルス発現系を用いてIκB-ζを過剰発現したところ、LPS刺激に伴うinterleukin (IL)-6の産生を転写レベルで亢進することを見出した。 以上の結果より、IκB-ζ分子の内部には転写活性化能をもつ領域が存在し、通常分子内の他の領域を介して抑制されているこの活性は、NF-κBやその他の因子との相互作用を介して発揮されるようになる可能性が示唆された。こうして活性化されたIκB-ζは、IL-6の転写などに代表される自然免疫応答を転写レベルで制御している重要な因子の一つであると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Muta, T., et al.: "IκB-ζ, a New Anti-inflammatory Nuclear Protein Induced by Lipopolysaccharide, Is a Negative Regulator for Nuclear Factor-κB."Journal of Endotoxin Research. 9・(3). 187-191 (2003)
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[Publications] Nomura, S.et al.: "Purification and Characterization of Human Soluble CD14 Expressed in Pichia pastoris."Protein Expression and Purification. 28・(2). 310-320 (2003)