2005 Fiscal Year Annual Research Report
転写の亢進と抑制の双方に機能する核蛋白質IκB-ζによる自然免疫活性化の制御機構
Project/Area Number |
15370059
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
牟田 達史 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60222337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹重 公一朗 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10037450)
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Keywords | 自然免疫 / IκB-ζ / Nuclear Factor-κB (NF-κB) / 転写 / β-defensin / 炎症 / リポ多糖(LPS) / 転写後修飾 |
Research Abstract |
炎症時の遺伝子の転写に対して亢進と抑制という双方の機能をもつIκB-ζによって、どのようにして個々の遺伝子の転写の方向が決定されているのかという点は、本研究で解明すべき重要課題の一つである。代表者らは、NF-κBによってその発現が制御されているIL-8、β-defensin 2遺伝子に対するNF-κBとIκB-ζの共発現の影響について検討し、IκB-ζはNF-κBによるIL-8の発現を抑制する一方、β-defensin 2の発現を亢進することを明らかにした。β-defensin 2の発現は、NF-κB p50サブユニットやIκB-ζ単独の強制発現では、ほとんど誘導されないが、両者の強制発現によって強く誘導された。さらにβ-defensin 2遺伝子のプロモーターについて解析を進めた結果、IκB-ζとNF-κBによる転写亢進には、NF-κBの結合配列が必須であるが十分でなく、NF-κB結合配列以外のシスエレメントがさらに要求されることを見出した。一方、NF-κB結合配列のみをもつプロモーターに対しては、IκB-ζは逆に、NF-κB依存的な転写活性の抑制にはたらくことから、このシスエレメントの有無がIκB-ζの機能を左右していることが明らかになった。 また、IκB-ζの刺激特異的誘導機構について、刺激に応答しないプロモーターの下流でluciferase遺伝子と目的の遺伝子の融合mRNAを発現させる特殊なレポーター遺伝子を用いて解析を進めた。その結果、IκB-ζ mRNAの3'非翻訳領域に存在する配列が、リポ多糖(LPS)/IL-1β刺激に応答して、luciferaseタンパク質の発現に大きく寄与することを見出した。この配列をもったmRNAはTNF-α刺激にはほとんど応答しないことから、IκB-ζ遺伝子の転写後修飾機構による刺激特異的発現は、この配列によって決定されていると考えられた。
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