2003 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞分化の鍵となる外的・内的因子の探索とその作用機構の解析
Project/Area Number |
15370061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
大隅 隆 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50111787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 智広 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50347530)
廣瀬 富美子 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60208882)
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Keywords | 脂肪細胞 / PPAR / ペルオキシソーム / ペリリピン / 脂肪滴 / C / EBPα / C / EBPβ / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
(1)ヒト間葉系幹細胞(hMSC)において、MAPキナーゼの一種Jun N-terminal kinase (JNK)の阻害剤が脂肪細胞への分化を促進し、骨芽細胞への分化を阻害することを見いだした。優性ネガティブ型JNK変異体を併用することにより、JNKは転写因子CREBやインスリンシグナル伝達因子IRS-1の活性を負に制御することにより、hMSCから脂肪細胞への分化に対して抑制的に作用していることが示唆された。 (2)脂肪滴コートタンパク質ペリリピンの遺伝子は、プロモーター上流約2kbにあるペルオキシソーム増殖剤応答配列(PPRE)を介して、PPARγにより、脂肪細胞において転写促進されることを見いだした。ペリリピン遺伝子の上流には約5kbを隔てて、ペルオキシソーム形成因子PEX11αの遺伝子が存在しており、ペリリピンと共通のPPREを介して、PPARαにより、肝臓で転写促進されることが示された。これらの結果にもとづき、共通の調節配列による複数の遺伝子の組織選択的発現という、新しい概念を提唱した。 (3)ペリリピンと相互作用するタンパク質を複数種類、同定した。このうちのひとつはペリリピンと同じファミリーの脂肪滴コートタンパク質、ADRPとも相互作用した。このタンパク質はリパーゼなどの加水分解酵素に特有のドメイン構造を有しており、脂質代謝への関与が示唆された。 (4)脂肪細胞分化において重要な役割を果たす転写因子、C/EBPαの遺伝子の転写を抑制する配列を、遺伝子下流に見いだした。この配列には複数のタンパク質因子が結合し、その種類は前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化過程で大きく変化することが示された。結合タンパク質のひとつは,C/EBPαに先立って誘導されるC/EBPβであり、これが結合することによって、C/EBPα遺伝子の転写抑制は脂肪細胞分化に伴って解除されると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shimizu, Makoto: "Tissue-selective, Bidirectional Regulation of PEX11α and Perilipin Genes through a Common Peroxisome Proliferator Response Element."Molecular and Cellular Biology. 24. 1313-1323 (2004)
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[Publications] NAGAI, Keisuke: "SKIP modifies gene expression by both affecting transcription and splicing."Biochemical and Biophysical Research Communications. 316. 512-517 (2004)
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[Publications] Hansmannel, Franck: "Functional characterization of a peroxisome proliferator response-element located in the intron 3 of rat peroxisomal thiolase B gene."Biochemical and Biophysical Research Communications. 311. 149-155 (2003)