2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15370064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神谷 律 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10124314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広野 雅文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (10212177)
八木 俊樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40292833)
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Keywords | 鞭毛・繊毛 / ダイニン腕 / 微小管 / 全反射顕微鏡 / 蛍光標識 / テクチン |
Research Abstract |
鞭毛軸糸微小管上にはダイニン外腕が24nmごとに,7種存在する種内腕はそれぞれが96nmごとに,一列に規則正しく配列している.そのような規則性は軸糸の規則正しい運動に必須であると考えられるが、規則性が生じる機構はまだほとんど明らかになっていない.我々の研究室ではダイニン外腕を微小管上に結合させる蛋白質複合体ODA-DCを同定し,それが微小管上に協同的に結合することが規則的配列機構にとって重要であることを示唆してきた.本研究はそのようなダイニン配列機構を,その結合過程を直接観察することによって追求することを目的としている.本年度は,昨年度組み立てた全反射蛍光顕微鏡によるダイニンと微小管の相互作用の解析を続行するとともに、生化学的にダイニンと微小管の結合を定量した。その結果、ダイニン微小管の結合には顕著な共同性があることが改めて確認された。実験の途中で、蛍光標識したODA-DCとダイニンの標品が生理的イオン強度下で不溶性になるという問題が発生したため、ガラス器内の結合を直接観察するまでには至らなかった。しかし、ダイニンと微小管の結合に関しては、ODA-DCの第3のサブユニットの構造を決定したほか、内腕と微小管の結合にテクチンと呼ばれる蛋白質が関与していることを見いだした。また、蛍光標識したダイニン内腕サブユニットを生細胞の鞭毛内に電気穿孔法でとりこませてから鞭毛の小部分を光退色させる実験により、ダイニン内腕が数時間の半減期でダイナミックにターンオーバーしているというめざましい現象を発見した。これらの知見は、内外のダイニン腕が軸糸微小管とどのように結合するかという問題に関して、重要な示唆を与えるものである。
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Research Products
(6 results)