2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15370068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河村 悟 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (80138122)
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Keywords | 桿体 / 錐体 / 視物質キナーゼ / トランスデューシン |
Research Abstract |
1.桿体と錐体のキナーゼの発現量の決定 前年度の研究により、錐体では視物質キナーゼ活性が単位膜面積あたり約100倍高いことが分かった。そこで、この高い活性がキナーゼ1分子の活性(比活性)が高いためなのか、キナーゼの発現量が多いからなのかを検討した。その結果、桿体と錐体とにおけるキナーゼの発現量を定量したところ、錐体の方が単位膜面積当たり約10倍多いことが解った。桿体と錐体におけるキナーゼの全活性を求め、発現量から計算すると、比活性は錐体キナーゼの方が約10倍高いことが解った。組み替え発現蛋白質で比活性を求めたところ、矛盾のない結果が得られた。 2.トランスデューシンGTPase活性の比較 応答の回復にはトランスデューシンにおけるGTPの加水分解が必要である。錐体ではこの活性が高く、そのため応答の終息が早くなることが予想される。GTPの加水分解の時間経過を桿体と錐体試料で測定したところ、錐体の方が分解が早いことが示唆された。 3.cGMP合成活性の比較 光応答の回復にはcGMP濃度が回復する必要がある。そのためにはcGMPが合成されなければならない。光応答の回復が早い錐体の方がcGMP合成酵素活性が高い可能性がある。そこでこの酵素活性について桿体と錐体とで比較したところ、錐体の方がcGMP合成能が高いことを示唆する結果が得られた。 4.桿体と錐体との順応過程に与る蛋白質の発現 順応は錐体の方が早く、しかも順応できる光強度の範囲が幅広い。順応に関わる蛋白質について、桿体と錐体とで比較した。桿体ではS-モジュリンが、また、錐体ではその錐体型であるs26が発現し、Ca濃度依存的に視物質のリン酸化を調節している。S-モジュリン、s26の働きの違いを検討する目的で、実験動物(コイ)で発現しているS-モジュリンとs26の発現蛋白質を得た。
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Research Products
(1 results)