2003 Fiscal Year Annual Research Report
個体レベルにおけるMAPキナーゼカスケードによるシグナル伝達機構
Project/Area Number |
15370075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 邦弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70116375)
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Keywords | シグナル伝達経路 / MAPキナーゼカスケード / ストレス応答 |
Research Abstract |
MAPキナーゼカスケードは、細胞の増殖・分化など多様な生命現象に必須のシグナル伝達経路である。そのうち、p38 MAPキナーゼカスケードは、種を越えて進化的に保存されたシグナル伝達経路であり、様々な環境ストレスにより活性化することが知られている。しかしながら、個体レベルでのp38 MAPキナーゼカスケードの機能については、ほとんど明らかになっていない。そこで、線虫をモデル動物として、アルセナイトストレス応答におけるSEK-1 MAPキナーゼキナーゼ、PMK-1 MAPキナーゼからなるp38 MAPキナーゼカスケードと転写因子Nrf2の線虫ホモログであるSKN-1との関係について解析を行なった。ほ乳動物のNrf2は、ストレスにより核移行することが知られている。そこで、SKN-1::GFP遺伝子を作成し、野生型とsek-1変異体においてアルセナイトストレスによるSKN-1::GFPの局在変化を調べた。その結果、野生型の線虫ではアルセナイトストレスによりSKN-1::GFPが核移行するのに対し、sek-1変異体ではアルセナイトストレスによるSKN-1::GFPの核移行は観察されなかった。また、活性化したPMK-1は、in vitroでSKN-1をリン酸化することが明らかとなった。以上の結果より、線虫においてSEK-1、PMK-1からなるp38 MAPキナーゼカスケードが転写因子SKN-1のリン酸化を介した核移行制御を行なうことで、アルセナイトストレス応答を行なっていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)