2004 Fiscal Year Annual Research Report
個体レベルにおけるMAPキナーゼカスケードによるシグナル伝達機構
Project/Area Number |
15370075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 邦弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70116375)
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Keywords | シグナル伝達経路 / MAPキナーゼカスケード / ホスファターゼ / 線虫 / ストレス応答 |
Research Abstract |
MAPキナーゼ(MAPK)カスケードは、MAPK、MAPKキナーゼ(MAPKK)、MAPKKキナーゼ(MAPKKK)という三種類のキナーゼによって構成され、増殖因子やサイトカインなどの刺激および様々な環境ストレスによって活性化し、多様な応答を制御する。MAPKは、MAPKKによってリン酸化されると活性化するのに対して、MAPKホスファターゼ(MKP)によって脱リン酸化されると不活性化する。したがって、MAPKの活性は、MAPKKによるリン酸化とMKPによる脱リン酸化のバランスによって制御されており、MKPはMAPKに依存した応答反応の調節において重要である。しかしながら、個体レベルにおけるMKPの機能については不明な点が多い。そこで、我々は、線虫MKPであるVHP-1の機能解析を行った。vhp-1欠失変異体は幼虫期に発生を停止するが、この変異表現型はJNK様MAPKをコードするkgb-1、MKK7型MAPKKをコードするmek-1、MLK型MAPKKKをコードするmlk-1それぞれの機能欠損変異によって抑圧される。mek-1欠失変異体およびmlk-1欠失変異体では、野生型と比較してKGB-1の活性が低下していたことから、KGB-1、MEK-1、MLK-1がキナーゼカスケードを構成していると考えられる。また、KGB-1MAPKカスケード構成因子の欠失変異体は重金属に対して高い感受性を示すが、この重金属感受性はvhp-1欠失変異によって部分的に抑圧される。これらの結果から、KGB-1MAPKカスケードによって制御されるストレス応答の統合および調節において、VHP-1が中心的な役割を果たしていると考えられる。
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Research Products
(1 results)