2003 Fiscal Year Annual Research Report
膜蛋白質の分布制御におけるERM蛋白質の役割:ノックアウトマウスを用いた解析
Project/Area Number |
15370083
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
月田 早智子 京都大学, 医学部, 教授 (00188517)
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Keywords | アクチン / エズリン / ラディキシン / モエシン / ERM / 細胞骨格 / 細胞接着 / 細胞運動 |
Research Abstract |
(1)エズリンノックアウトマウスの作製・解析 われわれは、アクチンフィラメントと細胞膜の結合に重要な役割を果たす架橋蛋白質としてエズリン、ラディキシン、モエシンから成るERMファミリーを見いだし、機能解析を行っているが、数年前より、ERM (Ezrin/Radixin/Moesin)蛋白質の個体レベルでの機能を調べるために、各ERM蛋白質の遺色子をノックアウトしたマウスを作製している。モエシンのノックアウトマウス、ラディキシンノックアウトマウスはすでに得られ、その機能解析もだいぶ進んだので、本研究において、15年度の計画として、エズリンのノックアウトマウスの作製を行った。マウスのゲノムライブラリーよりエズリンのゲノムを得て、プロモータートラップ型のエズリンターゲッティングベクターを作製した。このベクターを用いてエズリンがヘテロで欠失したES細胞を作製し、そのES細胞をマウスの胚盤胞に導入した、現在キメラマウスの作製に成功し、さらに交配によりヘテロマウスを作製し、ヘテロマウスの交配によりエスリンのノックアウトマウスを作製している。 (2)ラディキシンノックアウトマウスにおける蝸牛有毛細胞の機能解析 当初計画していたラディキシンノックアウトマウスの肝細胞にエズリンを発現させたトランスジェーニックマウスの作製については、何種類かのトランスジェーニックマウスを作製したが肝細胞にエズリンを発現するにはいたらなかった。この過程でラディキシンノックアウトマウスのフェノタイプの解析から、このマウスの聴力が欠失していることが明らかになった。そこで、蝸牛有毛細胞の解析を行なったところ、(a)野生型のマウスの蝸牛有毛細胞においてラディキシンが不動毛に濃縮すること、(b)ラディキシンノックアウトマウスにおいては生後2週間前の聴力がない時期においては、エズリンが相補的に発現することにより不動毛が形成されるが、それ以後、不動毛が消失していくので、このマウスは先天的に聴力が欠失していること、を示すことができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hoeflich, K.P., et al.: "Insights into a single rod-like helix in activated radixin required for membrane-cytoskeletal cross-linking"Biochemistry. 42. 11634-11641 (2003)
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[Publications] Hamada, K., et al.: "Structural basis of adhesion-molecule recognition by ERM proteins revealed by the crystal structure of the radixin-ICAM complex"EMBO Journal. 22. 502-514 (2003)