2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15370089
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
村上 浩士 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (80262020)
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Keywords | 細胞周期 / DNA複製 / 減数分裂 / 遺伝子組み換え / 二重鎖切断 / チェックポイント / Cds1 / Rad3 |
Research Abstract |
現在知られているすべての真核生物において、減数分裂ではDNA複製が完了した後に遺伝子組み換えのための二重鎖切断が生じると考えられている。出芽酵母ではこの過程は直接カップリングしていることが知られている。本研究において、分裂酵母でこの過程を詳しく調べてみた。DNA合成阻害剤であるヒドロキシレア(HU)で処理すると、DNA複製が阻害されるだけでなく、二重鎖切断も阻害された。しかし、DNA複製後にHUを加えても二重鎖切断は阻害されなかった。このことより、HUは直接二重鎖切断の形成を阻害しているのではなく、DNA複製を介して二重鎖切断を抑制していると考えられる。すなわち、DNA複製と二重鎖切断は独立した現象で、チェックポイント因子により制御されていることが示唆される。そこで、DNA複製と二重鎖切断をカップリングさせているような因子をスクリーニングしたところ、Rad1,Rad3,Rad9,Rad17,Rad26,Hus1,Cds1がこの制御に必要であることが明らかになった。さらに、これらの変異株でみられる二重鎖切断は正常な場合と同じ位置に観察された。以上のことから、DNA複製と二重鎖切断は独立した現象で、チェックポイント因子により制御されていると考えられる。このチェックポイントはいかなる生物でも未同定の新しい経路であると思われる。また、このような因子のホモログはヒトにおいても存在し、DNA複製や損傷のチェックポイント機能があると考えられている。この研究により、このようなチェックポイント因子がヒトを含む高等動物の減数分裂におけるDNA複製と遺伝子組み換えのカップリングにも関与していることが推察された。
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