2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ突然変異体の解析による内胚葉・内胚葉系器官形成機構の研究
Project/Area Number |
15370094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菊池 裕 名古屋大学, 理学研究科, 助教授 (20286438)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 内胚葉 / Pou2 / Notch / 突然変異体 |
Research Abstract |
脊椎動物の初期発生において原腸陥入に伴う三胚葉の形成は、重要な形態形成過程の一つである。三胚葉の中での内腔葉誘導・形成に関しては、ゼブラフィッシュ突然変異体を用いた解析により分子機構が解明されてきた。私達研究グループは突然変異体による遺伝学的解析を行った結果、paired型ホメオドメイン転写制御遺伝子(bonnie and clyde)・Gata5転写制御遺伝子(fausf)・Sox型転写制御遺伝子(casanova)が内胚葉誘導に重要な機能を有することを明らかにしてきた。最近内胚葉誘導に異常を示す新たな突然変異体としてspiel-ohne-grenzen (spg)が報告された。spgは中脳後脳境界部の形成不全を示す変異体として分離され、spgの責任遺伝子はPOUファミリー転写制御遺伝子pou2であることが報告された。spg変異体では初期内胚葉マーカー遺伝子であるsox17の発現が原腸陥入後期において消失することから、Spg/Pou2が内胚葉形成に関与していることが示唆された。私達は母性・胚性spgを欠損した変異体(MZspg)を用いて解析を行った結果、Spg/Pou2とCasanovaはsox17の発現誘導に関して協調的に機能していることを明らかにし、Developmentalに報告した。 更に私達は中胚葉と内胚葉の分離機構に着目し解析を行った。初期原腸胚において中胚葉と内胚葉は同じ帯域から分化・誘導されることが知られているが、中胚葉と内胚葉の分離機構は未だに不明である。帯域においてsox17を発現する内胚葉細胞は、一定の間隔を空けて点在して分化・誘導されることが知られている。この様な内腔葉細胞の誘導には、神経細胞の分化で知られているNotchシグナルによる側方抑制機構が関与していることが予想された。そこで私達はNotchシグナルの活性化実験を行った結果、内胚葉誘導が抑制されることが明らかになった。また、Notchの下流因子であることが報告されているher1(Hesファミリー)の過剰発現においても内胚葉細胞数の大幅な減少が観察され、Notchシグナルが内胚葉・中胚葉の分離に関与している可能性が示唆された。私達は本研究成果をDevelopmental Dynamicsに報告した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Reim, G., Mizoguchi, T., Stainier, D.Y., Kikuchi.Y., Brand.M.: "The POU domain protein Spg (Pou2/Oct4) is essential for endoderm formation in cooperation with the HMG domain protein Casanova"Developmental Cell. 6. 91-101 (2004)
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[Publications] Kikuchi, Y., Verkade, H., Reiter, J.F., Kim.C.-H., et al.: "Notch signaling can regulate endoderm formation in zebrafish"Developmental Dynamics. (in press).