2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15370097
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
星 元紀 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20012411)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 緑 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (00211574)
小林 一也 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (50360110)
|
Keywords | 無性生殖 / 有性生殖 / 生殖戦略 / ネオブラスト / テロメア / プラナリア |
Research Abstract |
我々は、多細胞動物における無性生殖から有性生殖への転換機構について解明するために、1個体に由来し、20年近くにわたって一度も性個体を生じたことの無いリュウキュウナミウズムシ(Dugesia ryukyuensis)の無性系クローン(OH株)個体に、有性生殖のみを行うと考えられているイズミオオウズムシ(Bdellocephala brunnea)の成熟個体を餌として与えることによって、比較的速やか(1週間程度の処理)かつ確実(有性化率100%)に有性化させる実験系を確立した。 本研究課題では、1)有性化物質の完全精製と構造の決定、2)有性化に係わる遺伝子群の網羅的解析、有性化現象のEST解析とデータベースの構築及び、各有性化ステージにおけるマイクロアレイ解析、3)致死量X線照射個体への新生細胞の移植実験を用いた全能性幹細胞といわれる新生細胞の分化能力の解析、4)染色体の異常な挙動に関わると予想されるテロメア・テロメレース系の解析、5)DNAのメチル化によるゲノムレベルの質的、量的変化について解明することを目的として行った。 3)についてはX線に対する致死量を検討し、黒目欠損の突然変異体MenashiをホストとしてOH株をグラフトとして用いて、ネオブラストの移植実験を行った。ホストに黒目の形成が起こすことに成功したことから、ネオブラストには全能性分化能が存在することが示された。 4)については、無性個体、有性化個体、有性個体についてゲノム内のテロメア配列の長さを細胞分裂の回数とともに比較した。無性個体、有性化個体については、分裂の回数に関わらず、20kbp以上の長さを保持していたが、有性個体については分裂回数に伴い15kbp程度に短縮された。このことは、細胞の寿命は、生まれた時の性によって決まっていると考えられる。
|