2005 Fiscal Year Annual Research Report
食事制限下におけるエネルギー代謝量:ヒトの適応過程としての検討
Project/Area Number |
15370102
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
甲田 勝康 関西医科大学, 医学部, 講師 (60273182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 比良夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (30148522)
中村 晴信 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (10322140)
奥田 豊子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90047308)
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Keywords | 栄養学 / 環境 / 社会医学 / 人類学 / 生理学 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
諸民族の間にエネルギー代謝の違いがあることが報告されている。動物性タンパクや脂肪摂取の多いイヌイットは高い代謝水準によって寒さを凌ぎ、食糧事情の悪いアンデス高地の住民は代謝増大をできるだけ抑え断熱形の反応をする。しかし、このような相違が遺伝的要因により決定されるものなのか、もしくは短期的な機能馴化によるものなのか十分には解明されていない。 我々は平成15年度および平成16年度に、短期的な摂取エネルギー制限がエネルギー代謝およびその他の生理機能にどのような影響を及ぼすかについて検討する目的で、疫学研究(関西医科大学倫理委員会承認・関医倫第エ0301号)および動物実験を行い、データを収集した。平成17年度は、平成16年度に引き続き、短期的な絶食や食事制限中のエネルギー代謝・その他の生理機能の状態について検討し、環境適応におけるヒトの潜在能力について考察した。 その結果、短期の絶食により代謝系を含む種々のmRNAの発現量が有意に変化し、また、種々のタンパク質において変動が観察された。さらに、基礎代謝量は4日間の短期の摂取エネルギー制限により敏速に変動し、この変化量は体重の変化よりも大きかった。摂取エネルギー制限によりひきおこされるであろう体重減少を、この著明な基礎代謝量の低下により最小限にとどめようとしているものと考えられた。 以上の結果から、諸民族の間にエネルギー代謝の違いは遺伝的要因だけでなく、生活環境に短期的な機能馴化をした結果でもあることが示唆された。これらの研究成果は、学術論文として取りまとめ、国際誌上に発表し、研究期間内に目的を達成することができた。
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Research Products
(1 results)